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アイビック食品、新しい食「五感」で開発 札幌に新拠点

ラーメンのタレなどを製造するアイビック食品(札幌市)は9月1日、香り発生装置や仮想現実(VR)・拡張現実(AR)機能を備えたキッチンスタジオを本社3階に開設する。商品開発や北海道の食発信のための拠点として、自社だけでなく飲食店など取引先にも開放する。

新たにオープンする施設は、視覚のほか聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感全体で食を体験できるという意味を込めて「北海道みらいキッチンGOKAN」と命名した。面積は約226平方メートル。牧野克彦社長は「北海道の新しい食を発信する拠点にしたい」と意気込む。

GOKANはオーブンや冷蔵庫といった調理設備だけでなく情報機能を充実させ、「食のDX(デジタルトランスフォーメーション)拠点」と位置づける。たとえばバーベキュー用調味料の開発打ち合わせや試食会では、風景など映像を投映するプロジェクションマッピングや香り噴射機を使い、野外でバーベキューを楽しむのに近い雰囲気で商品開発ができる。

明るさや色合いを細かく調整できる照明やデジタルサイネージも設置。飲食店の客席や小売店の棚で、どのような盛り付けやパッケージならおいしそうに見えるか検討できるようにするなど、取引先のマーケティングも支援する。

料理を作る場面を撮影して、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」で流すといったスタジオとしての機能も持つ。動画とネット通販を組み合わせたライブコマースへの利用も想定している。商品にスマートフォンをかざすと付随情報が見られるARや、VRと組み合わせたバーチャル店舗の開設準備も、GOKANを拠点に進めていく。

投資額は約7000万円。一部は経済産業省の事業再構築補助金を充てる予定だ。

GOKANの構想は新型コロナウイルス禍で温めてきたアイデア。外国人実習生の社員寮を3月に移転し、空いたスペースを新事業に活用する。構想づくりにはアイビック食品社員のほか、札幌市内の食品会社や飲食店の経営者らも参加している。新施設のロゴや、キッチンで水耕栽培により育てる野菜やハーブなどの植物の種類などでは、社外からの意見も取り入れてきた。

アイビック食品は、コロナ禍で苦境に陥った飲食店を支援してきた。巣ごもり消費を取り込めるレトルト食品や家庭用調味料を共同開発してきたほか、グループ会社が運営する釣り具・アウトドア用品店「コルソ札幌」では飲食店の商品を自動販売機で扱っている。

新型コロナ禍は巣ごもり消費を促しただけでなく、宴会を避けて1人や少人数で外食する傾向が強まるなど、食に大きな影響を与えている。アイビック食品は、GOKANを活用して「より売れる商品をつくっていく」(牧野社長)考え。自社と取引先の商品開発力をともに高めることで、収益確保につなげる狙いだ。

(久貝翔子)

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