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1日9万円でパウダースノー 富裕層の遊びに加わる「宿」

イワナイリゾート(北海道岩内町)を経営するYuki Kamui(ユキカムイ、同町)が近隣の宿泊施設「ホテルグリーンパークいわない」を買収した。雪上車によるスキーツアーが外国人富裕層に人気で、これまでなかった宿泊ビジネスへの参入でフルサービス体制を整える。

「キャット」と呼ぶ雪上車でスキー客を山頂近くまで運ぶ「キャットスキー」は1人1日9万円と決して安くないが、誰も滑っていないパウダースノーを独占できる特別感が海外では人気だ。近隣にある国際リゾート、ニセコの知名度も手伝い、新型コロナウイルス禍前は岩内を訪れる富裕層が引きも切らなかった。

1台の定員は14人。特急列車のようなシートが用意され、リフトの通っていない山頂近くまで力強く登っていく。地元有志が10年以上前に始めた企画をユキカムイが引き継ぎ、難易度が高い林間コースを整備して海外向けにPRしてきた。

「パウダースノーは他にもあるが、スキー場からのオーシャンビューとのセットは世界でも珍しい」とジョン・グライナー社長。米国では1日10万円以上も珍しくないサービスで、富裕層に壁にはならないという。19-20シーズンの利用者は824人と、当初の5倍に成長していた。

米国出身のグライナー社長が目指すのは「キャットイン、キャットアウト」のフルサービス。雪上車でホテルの入り口まで迎えに行き、滑り終わればホテルまで送り届ける。港まで5キロメートル程度の立地を生かして食材を調達し、食事は新たに採用したシェフが調理し提供する予定だ。

買収したグリーンパークは源泉かけ流しの温泉が国内観光客に親しまれていたものの、外国人富裕層の選択肢にはなっていなかった。「何日も泊まって毎日滑りたいが、ホテルはないのか?と何度も聞かれた」(グライナー社長)。改修前に16部屋あった宿泊機能はキャットの定員の28人は宿泊できるようにし、宿泊とセット販売する。

スキー場のリフトは岩内町が保有を続けており、ユキカムイは指定管理者。土地は町から譲渡されたが、協力関係の象徴としてリフトは町が保有し続けている。岩内町役場観光経済課の中村輝幸課長は「リゾート計画を応援する立場だが、町民スキー場としての役割も失って欲しくない」と話す。

2年に及んだコロナ禍の直撃を受けて苦しんだ北海道のスキー場も、相次いでコロナ後へと動き始めている。富裕層の回帰に向けたインフラ整備に乗り出したのは、ニセコHANAZONOリゾート(倶知安町)。国内で初導入したフランス製高級ゴンドラのシートは本革で、緩衝装置によって振動も最小限に抑えている。

ゴンドラのスピードは業界最高水準の秒速5メートル。同スキー場を経営する日本ハーモニー・リゾートのコリン・ハクウォース社長は「100年先を見据えた投資だ」と強調する。一方、国設芦別スキー場(芦別市)ではプロスキーヤーの顔も持つユーチューバーによる再建が動き始めた。リフトの代わりにスノーモービルでスキーヤーを送り届けるなど、前例にとらわれない斬新なサービスが始まった。

スキー人口が低迷し、昭和の時代に行政の住民サービスとして始まった多くのスキー場が岐路に立っている。ユキカムイのキャッチフレーズは「Hidden Hokkaido(隠れた北海道)」。大事に育ててきた開拓スピリットが開花の時を待っている。

(久保田皓貴)

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