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北海道産木材、デザインとアイデアで活路

北海道では建築材だけでなく、家具や身の回りの製品で道産材の利用が広がりつつある。三菱鉛筆子会社はボールペンのグリップでの採用を検討し始めた。道内企業の作ったイスを米グーグルが大量発注する例も出てきた。全国屈指の森林王国は持てる資源を総動員し、製品に磨きをかけている。

道や道内木材関連企業は道産木材製品販路拡大協議会(札幌市)を設立、「HOKKAIDO WOOD」の認定を2019年に始めた。22年に申請した三菱鉛筆北海道販売(札幌市)は道産木材を使ったボールペンの商品化に向け、検討を進める。

道産材を使い、部分的にでも道内で加工した製品がHOKKAIDO WOODの認定対象だ。22年5月16日時点で158件が登録する。家具など身近な製品の申請が増えてきたという。

新型コロナウイルスの感染拡大による3密回避は「ウッドショック」と呼ばれる世界的な価格高騰と供給難を引き起こした。旭川家具工業協同組合の杉本啓維専務理事は「旭川のメーカーも木材を山で見て、製材から加工まで一貫して手がける動きが出ている」と話す。在宅ワークなどで机などのデザインにこだわる消費者も増えた。

滝沢ベニヤ(北海道芦別市)は、色紙と木材を互い違いに重ね合わせて作るペーパーウッドを使ったイスや時計をデザイン会社と製作した。イスは米グーグルが大量発注したほか、時計はニューヨーク近代美術館(MoMA)がオンライストアで取り扱う。

旭川市では1990年から3年に1度「国際家具デザインコンペティション旭川」を開催する。2021年は家具の展示会イベント「旭川デザインウィーク」の一部門として開いた。コンペでは37カ国・地域から500点以上の作品が出展。出品者の平均年齢も30代後半が中心だ。

杉本氏は「参加するデザイナーの実力を試す場になっている」と話す。組合に属するメーカーの社員が技能五輪で上位入賞するなど、旭川には熟練技術者も多い。

北海道の森林面積は全国の22%を占める。北海道林業統計によると、1990年ごろから道内の森林資源量も増加傾向だ。2011年度に7億3000万立方メートル超だったが、20年度には8億2000万立方メートルまで増えた。道内の木材自給率が7割近くに達した。4割にとどまる全国平均を上回る。

ただ、林業の担い手の高齢化は課題だ。北海道では19年度時点で39歳以下は全体の25%にとどまる。一方、60歳以上は32%を占める。デザイン性の高い製品を作り上げても、材料となる道産材を安定的に供給できなくなる恐れがある。

北海道も林業の担い手確保に重い腰を上げた。20年に2年制の「北海道立北の森づくり専門学院」(旭川市)を開校した。チェーンソーなど最大14種類の資格が取得できる。22年に卒業した第1期生は多くが道内の林業関連の職に就いたという。

木は植えてから伐採するまでに数十年を要する。林業や加工業従事者、デザイナーの育成も時間がかかる。全国に先駆けて人口減が進む北海道では、戦略的に育てていく視点が欠かせない。

(神野恭輔)

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