/

山梨の公示地価、29年連続下落 9年ぶりに下落幅拡大

JR甲府駅南口に近い甲府市丸の内1丁目の商業地は7年ぶりに下落した

国土交通省が23日発表した山梨県内の2021年の公示地価(1月1日時点)は、全用途の平均変動率が20年比マイナス0.8%となり、1993年から29年連続の下落となった。縮小が続いていた下落幅は9年ぶりに拡大に転じ、0.2ポイント広がった。

商業地と住宅地も29年連続で下落し、商業地は新型コロナウイルスの影響が大きかった。20年に28年ぶりの上昇となった工業地も再び下落に転じた。全167地点のうち上昇は3地点のみで、20年に比べ7地点減った。横ばいも9地点減って29地点となった。

商業地の下落率は0.8%で、20年に比べ下落幅が0.5ポイント拡大した。20年に6地点あった上昇地点は新型コロナ感染拡大の影響で、わずか1地点となった。唯一上昇した昭和町の大型商業施設「イオンモール」周辺の地点はプラス1.2%だったが、新型コロナの影響などで20年に比べ上昇幅が0.8ポイント縮小した。

観光客の増加により出店意欲が高かった富士河口湖町船津の2地点はインバウンド(訪日外国人)がほぼ皆無の状態となり、先行きも不透明なことから下落に転じた。20年はいずれもプラス2.9%だったが、21年はマイナス0.5~マイナス0.6%となった。

県内最高価格はJR甲府駅南口の甲府市丸の内1丁目の商業地(1平方メートルあたり29万9000円)だった。近年、観光客や会社員で飲食店がにぎわい安定的な賃貸需要があったが、新型コロナの影響で閉店したり賃料が下がったりした例もあり、20年のプラス1.3%から21年はマイナス2.6%と、7年ぶりに下落に転じた。下落幅も3.9ポイントと最も大きかった。

甲府駅南口の百貨店跡地にはヨドバシカメラの進出が決まっているが、県内調査の代表幹事を務めた不動産鑑定士の鶴田郁哉氏は「1月の調査時点では地価への影響はないが、駅周辺に家電量販店の競合はなく、今後プラスに働くと考えている」と話した。

住宅地の平均変動率はマイナス0.9%で、下落幅は20年に比べ0.1ポイント拡大した。忍野村忍草の地点はファナックの従業員による需要がある一方、宅地供給が少ないため取引価格の高値安定傾向が続きプラス0.7%、人口が増加傾向で大型商業施設に近い昭和町河西の地点も2.0%上昇した。ただし、上昇はこの2地点だけで、いずれも上昇幅が縮小した。

下落の主な要因は身延町などにみられる高い高齢化率や著しい人口減少といい、「住宅地については新型コロナの影響は限定的」(鶴田氏)という。一方、新型コロナをきっかけに2拠点居住やワーケーションの需要から別荘地への問い合わせが相次ぎ、北杜市高根町と同市大泉町の2地点は下落幅が縮小した。「50~60歳代が中心だった購入者層にも変化があり、30~40歳代の需要が徐々に増えている」(鶴田氏)という。

住宅地の県内最高価格は、東京への通勤者の需要がある上野原市上野原押出しの地点(1平方メートルあたり6万6900円)だが、価格が落ち着いてきており、2年連続で横ばいだった。

工業地は全4地点のうち下落が1地点、横ばいが3地点となり、下落に転じた。中央自動車道の甲府南インターチェンジ(IC)に近い甲府市大津町の工業団地内の地点が20年の上昇から21年は横ばいになったことが響いた。ただ「新型コロナの影響で新工場の稼働を延期する事例があったものの、コロナが原因の撤退などはみられず影響は限定的だ。中央自動車道のスマートICなど物流に適している点の評価は高く、需要は強い」(鶴田氏)としている。

今後の新型コロナによる地価への影響について鶴田氏は「ワクチンの普及や国などの政策次第だが、観光地などで人の往来が増えてくればプラス材料になる」と話している。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン