宇都宮LRT事業費上振れ 市長「やむをえない」
宇都宮市は25日、栃木県芳賀町と整備中の次世代型路面電車(LRT)の事業費のうち、市負担分が当初見込みから191億円の増額となったことを明らかにした。同日記者会見した佐藤栄一市長は「大型工事に増減はつきもの。大きな数字だが、やむをえない」としたうえで、「早期実現に全力で取り組む」と述べた。

LRTは2018年5月に着工した。停留場や車両製造などすべての工事に着手したことから20年11月に入って事業費の精査を進めたところ、年末に200億円近くの事業費増額が判明したという。市建設部は「全線新設は全国でも初めて。工事の種類も数も未経験の規模で、ある程度事業が進まなければ見通せなかった」と説明した。
同日公表した増額分の内訳は、地質調査で見つかった軟弱地盤の改良工事などで102億円、労務資材価格の高騰などで35億円、歩道のバリアフリー化や車両の仕様変更などで46億円、電力ケーブルやガス管など地下埋設物の移設費で35億円。一方、レール構造の見直しで27億円の事業費を削減し、差し引き191億円の増額となる。芳賀町分と合わせた概算事業費は当初の458億円から5割増の684億円に膨らむ。
市財政課によると、増額分の5割を国が補助した場合、市の追加負担は税込みで100億円となる見込み。このうち、90億円を市債、10億円を市の基金でまかなうとすると、市債償還が始まる2025年度以降、公債費負担比率を0.5㌽押し上げるという。公債費負担比率は12%程度となるものの、市目標の15%は下回るとした。
22年3月を目指していた開業時期は用地買収の遅れにより1年程度延期する。20年末時点で約40人の地権者との契約が終わっていないが、全員と交渉に入っているという。佐藤市長は「開業を期待していた人がたくさんいる。(延期した開業時期を)死守しないといけない」と話した。
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