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静岡銀、融資基準に「SDGs」 中小の評価体制を確立

コロナ禍に挑む

静岡銀行は同行のシンクタンク静岡経済研究所(静岡市)の分析を基に、融資を社会課題の解決につなげる「ポジティブ・インパクト金融」と呼ばれる手法で中小企業に融資した。中小向けは全国初。環境や社会貢献を意識した「ESG融資」よりも明確な影響の特定と目標設定、情報開示が必要だ。上場企業なみの行動がサプライチェーン(供給網)にも求められる時代を見据える。

平野ビニール工業では外国人雇用と日本での生活支援を積極的に進めてきた(静岡県磐田市の本社)

自動車向け座席シートの裁断、縫製を手掛ける平野ビニール工業(静岡県磐田市)ではグループ全体の従業員の6割超にあたる89人がフィリピンやベトナムなど外国籍だ。平野利直社長は「言語や文化のハンディーを認めた上でフェアに評価し、その経験や考え方を彼らに残したい」との思いで外国人を積極的に採用する。週に1回日本語教室を社内で開催し、草取りや防災訓練など地元の町内活動に会社ぐるみで参加してきた。

静岡銀と静岡経済研は「多文化共生」「地域経済活性化」といった好影響を特定してポジティブ・インパクト金融の利用を提案した。平野ビニール工業は「30年までに技能実習生の社宅を整備する」「30年までに営業車両をエコカーに切り替える」など12の目標を立てて公表し、1月に運転資金1億円の融資を受けた。金利や返済条件、審査はプロパー(自前)融資と同じだが、返済期限となる5年後までモニタリングと呼ばれる目標の進捗管理や達成に向けた助言を受ける。

ポジティブ・インパクト金融は、2030年までに取り組む17の持続可能な開発目標(SDGs)を国連総会が採択したことを受け国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱した資金調達の枠組み。17年1月にはUNEP FIが原則を、20年7月には環境省が金融機関や機関投資家向けの「基本的考え方」を発表した。

融資の場合は、社会や環境へ好影響を与え悪影響を減らす企業活動を金融機関が特定・評価したうえで実行し、その活動を金融機関が継続してモニタリングする。国内では、三井住友信託銀行が19年から不二製油グループ本社など20年12月までに14件実行している。

UNEP FIが開発した影響を測る指標では大企業を想定した部分があり、そのまま中小企業の評価に使うのは難しい。そこで静岡経済研は日本格付研究所(JCR)の助言のもと地域性や社長の考え方を反映する評価書を作成。加えてJCRには評価書に対しての第三者意見書を求めることで、整合性や透明性を高めて融資につなげられる体制をつくった。

平野ビニール工業への融資に応じた静岡銀豊田支店の白石紘康支店長は「SDGsは30年までの未来を見据えたときの世界の共通言語だ。コロナ禍で先が見えない中でも、中小企業が目標を立てやすい」と今の状況下でのポジティブ・インパクト金融の活用に期待する。

帝国データバンク静岡支店が20年7月に実施した調査では、静岡県内でSDGs達成に向け積極的な企業の割合は全国平均を下回る23%で、規模別にみると中小企業(22%)や小規模企業(19%)で低い。SDGsの存在を認知しているが取り組みに反映できていない企業は5割超に上り、実践方法を企業にどう浸透させるかが課題だ。新たな金融手法が一助となるか、注目が集まる。

(亀田知明)

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