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東京の地価、8年ぶり下落 コロナで商業地の不調目立つ

浅草寺仲見世通りの人通りも回復は鈍い

国土交通省が23日発表した東京都内の2021年の公示地価(1月1日時点)は各用途とも8年ぶりに前年比で下落に転じ、下落率は住宅地が前年比0.6%、商業地が1.9%、全用途は1.0%だった。新型コロナウイルスの影響で飲食や宿泊の需要が大きく減退。訪日観光客がほぼゼロとなったこともあり、銀座や浅草などの商業地は大幅な下落となった。

「いつ再開できるか分からない」。浅草でドミトリータイプの宿泊所を運営する男性は話す。コロナ前は宿泊客の8割が外国人だったというが、入国が規制されて以降は激減。日本人の利用も減り、20年4月から休業している。雇用調整助成金を活用し、従業員は休んでもらっているという。

近隣の同様の業態でも休業しているところは多い。浅草寺の仲見世通りで人形焼きを販売する店には大きく「半額」の文字。本来1袋400円のところを2袋400円で販売しているという。このところ暖かくなり多少は人通りが増えたというが、店主の男性は「値段を元に戻すのはまだ無理だね」と話す。

これまで急ピッチで地価が上昇していた浅草は、つくばエクスプレス浅草駅近くと地下鉄浅草駅前の調査地点がともに約12%下落し、下落率の上位に入った。飲食店の時短要請が繰り返されたことで、飲食店が多い中央区銀座や新宿区歌舞伎町も大きく下落した。区別に見ると20年は練馬区を除く22区で商業地は平均5%以上上昇したが、21年は23区すべてが下落に転じた。

コロナで大きく変わった人々の行動パターンが地価にも影響を与えている。在宅勤務が増え地元で買い物する機会が増えたことで、住宅が多い駅前の商業地は比較的堅調だ。商業地の上昇率上位には杉並区、足立区、世田谷区などの駅前商店街の地点が多数入った。都心部の地価が上がりすぎたため、周辺部に値上がりの機運はあったが、コロナが加速させたようだ。

住宅地も上昇にブレーキがかかったが、商業地に比べれば変動は緩やかだ。23区のうち、港区と目黒区の地価変動率はプラスを維持した。東京ではコロナの影響で人口増加の勢いは鈍っているが、世界的な財政・金融の緩和により余剰資金が不動産に流れ込んでいることもあって住宅価格は底堅い。調査会社の東京カンテイによると、23区の1月の中古マンションの価格は、70平方メートル換算で6041万円と7カ月連続で上昇した。

在宅勤務の広がりで職場への近さを従来ほど考慮しなくてもいい人が増加。今回の公示地価では長野県軽井沢町の別荘地が上昇するなど「首都圏からの移住などを目的とした需要が出ている」(国交省)例もある。ただ国交省によると、都心で不動産の売却が増えているわけではないという。現時点では一部の人による「2拠点生活」需要がメインとみられる。

都内の住宅地の下落率上位を見ると、世田谷区や杉並区などの駅からやや距離がある戸建て住宅街が多く、コロナ前と同様の動きだ。不動産業界内では、在宅勤務が定着するのかなど中長期的な働き方の見通しが分からない人が多い以上「住宅需要の傾向がすぐに大きく変わるとは考えにくい」(不動産大手)との見方が多い。

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