福島県沖の洋上風力 21年度中にすべて撤去へ
東京電力福島第1原発事故からの復興の象徴として福島県沖に整備された浮体式洋上風力発電施設について、国は2021年度にすべて撤去すると決めた。約600億円を投じ実証研究を続けてきたが、採算が見込めないなどの声が出ていた。国は「運転や気象などのデータを収集する目的は果たせた」としている。
13年11月以降、同県楢葉町の沖合約20㌔の太平洋に設置した風車3基が順次運転を開始。丸紅、日立製作所、三菱重工業などでつくるコンソーシアムが国から委託を受けて事業を担った。3基のうち出力7㍋㍗と最大の1基は20年5~6月に撤去。出力5㍋㍗と2㍋㍗の2基も21年秋ごろまでの撤去を見込む。
21年度予算の概算要求で洋上変電所や海底ケーブルなどを含む撤去費50億円を盛り込んだ。民間企業への払い下げも模索したが、条件が折り合わなかった。「税金の無駄遣い」との批判も出るなか、経済産業省資源エネルギー庁の担当者は「今後も浮体式を推進するうえで貴重なデータが得られた」と説明している。
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