茨城・袋田の滝に「氷瀑」効果 3連休中の客足拡大
厳しい冷え込みを受け、日本三名瀑(めいばく)の一つである袋田の滝(茨城県大子町)で滝が凍る「氷瀑(ひょうばく)」が現れている。近年は暖冬でほとんど凍らなかったが、今年は9~11日の3連休中に9割ほど凍結した。コロナ禍で各地の観光需要が冷え込む中、観爆施設の来場者数は2020年の3連休を上回った。

観爆施設管理事務所によると2300人近くが訪れた10日を含め、3連休中の来場者数は約5200人。台風19号の影響が尾を引いたほか、滝がほとんど凍らなかった20年1月の3連休(約3600人)を上回った。
今年は凍結がいったん緩んだが、3連休中は寒い日が続き、高さ120㍍の滝が凍る氷瀑が見られた。テレビやインターネットで紹介された効果もあって多くの観光客が訪れた。全面凍結すれば9年ぶりという。
発券所で検温のほか、感染者発生を通知する県のシステム「いばらきアマビエちゃん」の登録をした観光客は観瀑台で眺めを楽しんだ。福島県郡山市から夫婦で訪れた60代男性は「大雪で新潟に行けず茨城に来た。初めて見る冬の滝は雄大」と話した。千葉県松戸市からカップルで訪れた20代男性は「茨城は近すぎず遠すぎないし密にならない。違う季節にもまた来たい」と語っていた。

大子町の久慈川では厳しい冷え込みにより、川の流氷とも呼ばれる「氷花(シガ)」も見られた。多数の氷がシャーベットのように川を流れる現象で、全国でも観察できる場所は少ないとされる。貴重な風景をカメラに収める観光客も見られた。
ただ飲食の自粛ムードや宿泊促進事業の中止により、町内の宿泊施設や飲食店は厳しい。滝近くの飲食・土産店「まるせんや」の店主、根本学さんは「台風の後はコロナ。滝が凍っても客足は厳しいまま」と浮かない表情だった。