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処理水、政府は万全の風評対策を 震災10年で福島知事 

(更新)
取材に応じる福島県の内堀雅雄知事

東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故から10年を前に、福島県の内堀雅雄知事がインタビューに応じた。原発にたまる放射性物質を含む処理水について「風評被害への万全の対策を政府に要請している」と述べた。以下は同知事への一問一答。

――産業再生の見通しは。

「県内の企業がいい製品を作って稼ぐことが経済活性化の原点だ。中小企業が強みを伸ばし、市場で評価されるため、県は業態に応じたアドバイザーを派遣している。色々な知的財産を持っているが、使われていない、守られていない問題もある。しっかり守り、稼げるように支援する」

「もう一つの柱が新しい産業をつくることだ。ロボットなどのほか、核になるのが東電が手掛ける廃炉。地元企業が当事者として参加できるか否かが、福島が経済的により元気になれるかなれないかの分岐点になる。東電とも相談しながらマッチングをして、県内の企業が廃炉の一定部分に貢献できるよう積極的に取り組んでいる」

――再生可能エネルギーの普及をどう進めますか。

「県内では太陽光と風力が大きく伸びている。ただ、車での移動や冷暖房などを含め県内のエネルギー需要に対する再エネの割合はまだ40%弱。これを100%に引き上げる。原発事故に見舞われた福島だからこそ達成したい。そのためにはイノベーションが必要だ。水素エネルギーも安全な取り扱い、運搬、コストなど課題が多い。国、関係機関と研究開発にも力を入れたい」

――復興の進捗をどうみますか。

「帰還困難区域を除き面的な除染が完了し、避難地域でも医療介護、商業施設、学校など生活環境の整備が進み、復興は着実に前進している。一方で今も多くの方々が避難生活を続けるほか、被災者の生活再建、廃炉や汚染水対策など課題は山積している」

――風評払拭にどう取り組みますか。

「教育旅行は回復が遅れ、桃や牛肉などの価格は震災前の水準に回復していない。食品の放射性物質検査を徹底し、認証GAP(農業生産工程管理)取得などに粘り強く取り組む。新型コロナウイルスへの対応に関心が集まることで、県の取り組みが埋もれてしまうことがないよう、ウィズコロナに対応した情報発信を行う」

――原発の処理水の海洋放出について、県が賛否を示さないのはなぜですか。

「処理水問題の本質は風評対策だ。首相、官房長官、経産相、復興相には会うたび、県の農林水産業や観光業に影響を与えないよう万全の対策を具体的に示してほしいと言っている。昨年秋に処分方針が出る出ないという話があったが、それから相当の期間がたった。国は今、県の意見を含め慎重に検討を重ねているからだと思う。県は言うべきことを言い、政府が今後どう対応するかをしっかり見極めたい」

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