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鈴与グループ代表「清水の街づくり、始動の年に」

焦点この人に聞く

2021年は静岡市清水区の街づくりが動き出す節目の年になる。桜ケ丘病院(静岡市)のJR清水駅前への移転が決まり、清水港のにぎわい創出などを図る港湾計画の改定も控える。同区を拠点にする鈴与グループの鈴木与平代表に展望と課題を聞いた。

――鈴与は清水港の荷役作業を静岡県から委託されています。江戸時代から拠点を構える清水の街づくりにグループとしていかに関わりますか。

「3月には県が清水港の港湾計画を策定する予定で、地域医療機能推進機構(東京・港)が運営する桜ケ丘病院の駅前移転も決まり、21年は様々な動きが出て来る。港湾計画と都市開発をいかにリンクさせるかが課題だ。清水エスパルスの拠点、静岡市清水日本平運動公園球技場の老朽化による新サッカースタジアムの整備も一つの要素になる。(静岡市で整備候補地を所有する)ENEOSとは古い付き合いなので、県や市との間で潤滑油の役割を果たしたい」

「清水という街は近年、街づくりで集積という考え方を取らなかった。病院や郵便局などは遠い場所に分散している。中心部の商店街の活気が失われるのは当然だ。港湾計画が決まればフェリーの発着場が清水港にできて、人の出入りも増えるだろう。ここでもう一度、集積の街づくりをいかに進めるかが大事だ」

――中部横断道の静岡―山梨間が21年中に開通する見通しです。物流業を手がける立場でどんなメリットがありますか。

「今でも山梨県の荷物は清水に来ているし、清水から山梨県に入っていく物も多いが、これが相当加速する。長野県南部の松本や諏訪、東京の多摩地域などに商圏が広がる。甲府市への移動も従来は2時間半程度かかっていたのが約1時間半で済むようになり、清水港との縁が深まる。モノだけでなくヒトの動きも変わる。清水港のヨットハーバーや釣り場などを訪れる人が増え、街にメリットが生まれるはずだ」

――新型コロナウイルスの感染拡大は航空産業に大きな影響を与えました。国内の地方と地方を結ぶ傘下のフジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)の戦略は。

「20年3月は緊急事態宣言が出る直前まで良い決算でゴールインできると考えていたが、その後客が減り約20日間、全面運休した。新型コロナの第2波で7~8月のかき入れ時の影響も大きかった。航空事業は固定費のキャッシュアウトがかさみ、かじ取りが難しい。空港の検疫体制の強化も必要だ。先を見通すのは難しいが、そろそろ終息に向かわなければならない。21年にワクチンの接種が始まれば、客は100%には戻らないだろうが、70%くらいには戻るのではないか」

――FDAは地方の空港を結ぶ「ローカル トゥ ローカル」の公共交通の役割も担っています。航空事業をグループで維持していく方針に変わりないですか。

「基本的にそう思っている。航空事業はイベントリスクに弱く、本来は非上場会社がファミリービジネスで持つのは難しい。経営も鈴与グループで支えることができる程度ならいいが、あまりに事業を拡大しすぎると有事に支えきれなくなる。テレワークが普及する中、ビジネス需要は元には戻らないだろう。国内で適正規模を維持し、やれる範囲でやっていく」

(聞き手は高畑公彦)

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