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宙に浮くボタン実用化 トイレなど応用広く 村上開明堂

ボタンに触れることなく操作できるのが特長だ(温水洗浄便座の操作パネルの合成イメージ)

自動車用バックミラー大手の村上開明堂は、宙に浮いた画像や映像をタッチパネルのように操作できる技術を実用化した。感染症対策で非接触へのニーズが高まるなか、トイレやATM、エレベーターなどでボタンとしての利用を見込む。ぬれた手でも操作できるキッチン向けテレビのような使い方もできるとみている。2022年度の量産開始を目指す。

何もない空間上に仮想のタッチパネルを浮かび上がらせ、近づけた指を赤外線センサーで検出。その位置に応じて操作内容を判別する。文字やスイッチ類の配置を変更したり、任意の動画を流したりすることも簡単にできる。画面と指の距離は数センチメートルだが、設定次第で自由に変えられ、搭載機器が大きければ大きいほど離せるという。

スタートアップのパリティ・イノベーションズ(京都府精華町)の特殊なミラーを活用した。裏側に配置した液晶で画像や映像を映し出すと、微細なブロック状の鏡によって空中の一点に光が集まり結像する仕組みだ。低コストで鮮明に浮き出させることができるのが強みで、村上開明堂のソフトウエア技術と組み合わせることで実用化した。

応用範囲は広いとみている(ATMのテンキーの合成イメージ)

まずは温水洗浄便座の操作パネルでの採用を狙う。手をかざすだけで水を流せる機能は現在もあるが、「お尻を洗う」などの機能を使う際はボタンを触らざるを得ない。この技術を使えばパネルに接触せずに水の勢いや便座の温度なども操作できるようになる。すでに複数の便座メーカーと試作を進めており、順調なら22年度に操作パネルの量産を始める。

村上開明堂はこうした「空中浮遊スイッチ」の応用範囲は広いとみている。例えば不特定多数が触れるATMのテンキーやエレベーターのボタンからの置き換えだ。キッチンでスマートフォンのレシピを見ながら調理する人向けの映像装置も考えられるという。非接触のため手がぬれていてもレシピや調理映像を自在に操作できる。こうした使い道を各社に提案するなどして採用を広く働きかけたい考えだ。

平沢本部長(右)は「売上高比率を3割に高めたい」と意気込む。左は片山室長

非接触に注目、実用化に弾み

開発を担当した第二開発本部の平沢方秀・取締役本部長と片山琢・先行開発室長、パリティ・イノベーションズの前川聡社長に経緯や将来性などを聞いた。

――開発の経緯は。

片山氏「もともとは展示会で参考出展した(運転席と助手席の間に設ける)『マルチディスプレイ』で取り入れていた。だが現時点では採用に至っていない。実際に利用できる分野がないか考え、開発のかじを切った」

「パリティ社とは2018年に知り合った。その優位性に気づいて話を進めた。つくり始めると面白い用途も見えてきた。コロナ禍で非接触への注目が高まったことで実用化に弾みがついた」

――業績にどの程度寄与しますか。

平沢氏「いまは全社売上高の9割以上を車用バックミラーが占める。今後はミラーの汎用化が進み、単価は下がっていく。将来を考えれば自動車だけでなく多方面に目を向けていく必要がある。『空中浮遊スイッチ』は会社の第2、第3の柱に十分なりうる。10年を待たず売上高比率を3割まで高めたい」

――空中に映像を映し出す技術の将来性は。

前川氏「実空間に存在しているかのように見せられるのが特長だ。物体の説明を空間に映し出したり、エンターテインメントで活用したりと、様々な応用が考えられる。世の中を変える技術の一つだ。ミラーのサンプル出荷が増えており、量産化の準備を進めている」

(聞き手は福島悠太)

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