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オフィス、縮小拡大「二極化」 情報共有へ会話重視も

テレワーク 深化の条件(下)

介護施設紹介のみーつけあ(東京・中央)は2016年の創業時から荒川区に構えていたオフィスを20年9月に閉鎖した。本社登記は銀座にあるシェアオフィスに移し、従業員15人は原則自宅などでテレワークで行う。

全国の介護施設をデータベース化し、入所希望者の条件に見合う施設を探す同社の業務では、フルのテレワークに切り替えても支障がない。洞汐音最高経営責任者(CEO)は「1回目の緊急事態宣言下では通勤者に感染するのではという不安もあった。オフィス賃料がなくなるのもコスト面で大きい」と話す。

IT(情報技術)関連のスタートアップを中心に、実質オフィスをなくし、従業員全員でフルのテレワークに移行する企業が相次ぐ。小規模事業者にとっては家賃に加え、従業員の交通費なども削減でき、効果が大きい。

翻訳・通訳事業のエイアンドピープル(東京・渋谷)は20年6月、恵比寿の約120平方メートルのオフィスから代官山のシェアオフィスに本社を移転した。占有スペースは約10平方メートルで、出社した場合はコワーキングスペースや有料の会議室を使う。残業時間は34%、家賃は65%、従業員の交通費は55%削減できた。「特に6割いる育児中の従業員は働きやすくなった」という利点もある。

一方で、テレワーク導入を機にオフィスのあり方を改めて考え直す動きもある。オフィス移転支援のヒトカラメディア(東京・世田谷)によると、1回目の緊急事態宣言中はオフィス縮小を依頼する顧客が全体の半分以上を占めたが、最近では7割が拡張依頼だという。「テレワーク優先に切り替えてみて、若手の従業員教育の難しさなどの課題がみえてきた」と分析する。

AIQはオフィスを拡張移転し、中央に会議用の「ステージ」を設けて情報共有しやすくした(東京・新宿)

人工知能(AI)で企業のサイトやSNS(交流サイト)を使った販促を支援するAIQ(アイキュー、東京・新宿)は21年3月、17年の創業以来シェアオフィスの一角に間借りしてきた本社を移転し、面積は5倍の約360平方メートルに拡大した。

オフィスの中央に会議用の「ステージ」を設けて会議の内容が参加者以外にも伝わるようにし、情報を共有しやすくした。従業員の交流を促そうと、コーヒーが自由に飲めるバーラウンジも設けた。オンラインでは2、3回必要だった会議の回数が1回で済むようになった。「バーラウンジで従業員同士が私的な話題も語り合って関係が深まり社内に活力が出てきた」(渡辺求取締役)と、一体感醸成にもつながったとみる。

オフィスをなくした企業も従業員間の意思疎通には気を配る。ダイナミックプライシングシステム提供の空(東京・千代田)は20年5月、有楽町駅近くに構えていたオフィスをなくし、付近のシェアオフィスに本社を移した。オフィス賃料を95%削減できた。

空は従業員の相談に応じる「コミュニティマネージャー」(画面左)を採用した(写真はオンライン会議の画面)

一方で、同11月、テレビ会議で従業員の相談相手になる「コミュニティマネージャー」を新たに採用した。松村大貴CEOは「オフィスをなくしたからこそ、人と人をつなぐ役目は重要だ」と狙いを話す。

ヒトカラメディアは「設立間もないからこそ、社風を大事につくっていきたいと考えるスタートアップもあれば、従業員が一定規模に達し従業員の管理ノウハウも確立して原則テレワークでも問題ないというところもある。二極化の傾向がみられる」と指摘している。

(一丸忠靖が担当しました)

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