日本酒発酵の温度管理にIoT 秋田酒類製造と県センター
日本酒「高清水」で知られる秋田酒類製造(秋田市)と秋田県産業技術センターは、もろみ発酵の温度を管理するシステムを共同開発した。あらゆるモノがネットでつながるIoT技術を活用し、これまで手作業だった温度測定などを自動化する。杜氏(とうじ)や蔵人の仕事の負担を軽減できるという。

両者は2018年度から新システムの開発に取り組んできた。もろみやタンク内の温度を10分おきに測定するとともに、重量センサーで測った発酵前後の重量の差からアルコール度数を推計する。測定データはインターネット経由でクラウドに送られ、離れた場所にあるパソコンやスマートフォンで確認できる。

従来温度は1日1回測定し、アルコール度数はもろみを取り出し分析している。いずれも紙の台帳に記録するなど作業負担が大きい。
もろみ発酵は日本酒の品質を大きく左右する重要な工程。アルコール度数をみてタンクの温度を下げたり、水を足したりするといった作業が要る。経験と勘を支援するのに新システムが役立つという。
秋田酒類製造は「数年かけて新システムを取り入れたタンクを増やしていく」(倍賞弘平製造部係長)考えだ。県産業技術センターは「日本酒製造の現場は高齢化が進んでいる。新システム導入で働き方改革や技術継承につなげられる」(伊藤亮主任研究員)とみている。
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