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日鉄、30年までに国内に大型電炉 脱炭素へ生産見直し

日本製鉄は30日、2030年までに鉄スクラップを原料とする大型の電炉を国内につくる方針を明らかにした。鉄鉱石と石炭由来のコークスを使う高炉に比べ、電炉は製造時の二酸化炭素(CO2)排出量が4分の1に減る。コークスの代わりに水素を使う生産技術も研究し、生産体制を脱炭素時代にあわせて見直す。

同日に開いた環境対策に関する説明会で表明した。日鉄の鈴木英夫常務執行役員は「30年時点で大型電炉を実用化する」と強調。粗鋼の年産能力は400万トン規模と同社が持つ高炉に匹敵する。30年までに国内の製鉄所に建設し、稼働させる考えだ。

立地や投資規模などは今後検討する。国内では東京製鉄が田原工場(愛知県田原市)に持つ約250万トンの電炉が最大だ。日鉄の大型電炉が実現すれば、田原工場を上回る規模となる。日鉄は22年以降、瀬戸内製鉄所広畑地区(兵庫県姫路市)や欧州アルセロール・ミタルとの合弁先である米国アラバマ州の工場で新しい電炉を稼働させる予定。米国で新設する電炉は約150万トンで、投資額は800億円。国内で大型電炉が実用化すれば、これを上回る投資規模となる可能性もある。

いま主流の高炉では鉄鉱石から酸素を取り除くために石炭由来のコークスを使うため、大量のCO2が発生する。電炉は鉄スクラップを溶かして再生するため、CO2排出量は高炉を下回る。一方、スクラップは銅など不純物を含み、高度な成分調整が必要な自動車用鋼材などに不向きとされていた。大型化すると鋼材を溶かす効率が下がるなどの課題も多い。

日鉄は大型電炉での高級鋼材の生産を目指す(千葉県君津市の東日本製鉄所君津地区)

こうした課題を踏まえ、同社は高張力鋼板(ハイテン)より強度の高い「超ハイテン」や、電気自動車(EV)のモーターに使う電磁鋼板などの高機能鋼材を電炉でつくる技術を確立する。鈴木氏は「技術を習得しながら大型電炉のステップへ進む」とした。

日鉄が電炉活用を急ぐ一因は世界的な脱炭素の流れだ。同社は3月上旬、50年に温暖化ガス排出で実質ゼロを目指すと発表。高炉にコークスの代わりに水素を投入する「水素製鉄法」の研究開発も進め、現在の生産体制を見直す考えだ。鈴木氏は「どの高炉を電炉へ置き換えるかに関しては生産規模や品種、設備の更新時期といった観点から今後決めていく」と話した。

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