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中国で進むパワー半導体の大増産 供給過剰の恐れも

中国で電力や電圧を制御するパワー半導体の大増産が進んでいる。新興メーカーが建設を計画する工場の半数以上が主な生産品目としているもようだ。機器の省エネルギー性能を高める効果を持つ期待の基幹部品だが、供給過剰で日本の競合メーカーの収益が悪化する恐れもある。

政府が産業支援を強化

半導体の業界団体SEMIジャパン(東京・千代田)が会員の製造装置メーカーを通じ、中国の半導体工場の新設計画(2月末現在)をまとめた。会員が初めて取引する新興メーカーが合計で22社あり、このうち12社がパワー半導体を生産品目に定めていた。

例えば、潤西微電子は重慶市、杭州富芯半導体は浙江省杭州市でそれぞれ直径300ミリシリコンウエハーを素材とするパワー半導体工場を建設する。SEMIジャパンは信用状の発行状況などから、いずれも80%以上の確率で計画が前進すると判断している。

パワー半導体は電気自動車(EV)など電子機器の省エネ化に不可欠だが、演算用の「ロジック」や記憶用の「メモリー」に比べ地味な半導体だ。中国勢によるにわかな増産には、次のような背景がある。

まずは、共産党・政府が2015年ごろから半導体産業への支援を強化していることだ。潤西、杭州富芯の2社とも、規模が10兆円を超えるとされる政府系ファンド「国家集成電路産業投資基金」が21年以降、大株主に名を連ねた。

そして、パワー半導体は回路の微細加工技術が成熟していることだ。12社の多くが、ロジックで20年ほど前に実用化された線幅90ナノ(ナノは10億分の1)メートルの技術を使う。加工技術から見れば参入障壁が低い。

「ブーメラン効果」意識を

パワー半導体は一方で、回路設計や製造で経験豊富な技術者が必要な製品が多い。12社は大半が「既存の中堅メーカーが設立母体なので技術者を確保できる」(SEMIジャパンの青木慎一インダストリー・スペシャリスト)という。

事業の実現性が高いと評価され、中国の半導体投資の重点がパワー半導体に移り始めたようだ。三菱電機など日本のパワー半導体メーカーは国際競争力を残すが、200ミリウエハーでの生産が大半を占める。中国勢が増産の主力とする300ミリウエハーは、単純計算で一枚当たり2.25倍のチップを生産できる。

日本の半導体装置メーカーは現在、対中輸出の急増が業績の追い風になっている。ただ、結果として中国で巨大なパワー半導体メーカーが育ち、日本勢のライバルとなる「ブーメラン効果」の可能性は意識しておいたほうがよい。

(アジアテック担当部長 山田周平)

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