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中国版「紅白歌合戦」、見えるネットの縮図

バイトダンスのお年玉キャンペーンを説明する春晩の司会者(ネットの再放送画面)

中国の春節(旧正月)休み恒例のテレビ番組、春節聯歓晩会(春晩)が今年も放映された。旧暦の大みそかに当たる日の夜に全国放送され、中国版の紅白歌合戦といえるほど注目度が高い。家族がテレビの前でくつろぎながら見る娯楽番組も、近年は競争が激しさを増すインターネット産業の縮図となっている。

「抖音(ドウイン)のアプリを開いてください。12億元(約197億円)のお年玉キャンペーンを行っています」。2月11日夜に放映された今年の春晩で、司会者はこう呼びかけた。

抖音とは、北京字節跳動科技(バイトダンス)の動画アプリ「TikTok(ティックトック)」の中国版。視聴者は専用アプリをダウンロードし、番組で流れる情報を入力すると、「紅包(ホンバオ)」と呼ばれるお年玉を電子データで受け取れた。

春晩を制作・放映する中央テレビ(CCTV)は国営放送だが、普段からテレビコマーシャルを流している。視聴者が10億人を超えるとされる春晩は広告効果が絶大で、従来はカウントダウンにちなんだ時計や、宴会で飲む白酒のメーカーが有力スポンサーだった。

そこに2015年、騰訊控股(テンセント)が決済アプリ「微信支付(ウィーチャットペイ)」で割って入り、お年玉キャンペーンを行った。ライバルであるアリババ集団創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が「完璧な奇襲だ」と驚いたとされる手法だった。

当時の中国はスマートフォン決済の普及期。春晩後には、紅包をウィーチャットペイで送り合うことが流行し、シェア2割ほどだったテンセントがアリババと市場を二分するまで躍進する原動力となった。16年以降はネット大手がお年玉キャンペーンの冠スポンサーを競うようになった。

21年はもともと新興ネット通販会社の拼多多(ピンドゥオドゥオ)に決まっていたが、従業員の過労死疑惑が発覚し、抖音に急きょ変更された。歴代の冠スポンサーを振り返ると、ネット産業でも主役が抖音、拼多多など新興勢力に移ってきた様子がわかる。

お年玉以外にも、中国・深圳を代表するスタートアップ企業、深圳市優必選科技(UBテックロボティクス)のウシ型ロボットが踊ったり、寸劇でドローンが飛んだりなどの演出があった。春晩は技術のお披露目の場の性格も帯びてきた。

日本など海外の企業がお年玉イベントの冠スポンサーになることは、中国の国民感情からも無理だろう。しかし、中国産業の最新動向を定点観測するという点では、価値のある番組だ。

(アジアテック担当部長 山田周平)

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