ワーケーション市場、25年度に5倍3622億円の予測

余暇と仕事を組み合わせる新たな働き方「ワーケーション」に注目が集まっている。矢野経済研究所(東京・中野)によると、2025年度のワーケーションの国内市場規模は3622億円と20年度比で5.2倍に拡大する見通しだ。新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが普及し、ワーケーション関連のサービスも増えるなど商機が広がっている。
20年度のワーケーション国内市場規模については699億円、21年度は前年度比11%増の777億円と予測した。これまでワーケーションは仕事をする場所に裁量が認められる人や、働く場所を選ばない「ノマドワーカー」に利用者が限られる市場だったが、新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークが普及し、市場の裾野が急速に広がっている。

22年度は同17%増の909億円、23年度は同18%増の1077億円、24年度は同58%増の1704億円と順調に拡大する見通し。滞在する宿泊施設や地域の飲食店への波及効果も見込まれ、25年度は同約2倍の3622億円まで増えると予測する。
矢野経済研究所は「今後もテレワークの拡大は、ダイバーシティー(多様性)や働き方改革の一環として進む見込み。より柔軟な働き方としてテレワークに場所の制限を設けない(方向で改革が進む)可能性は大いにある」と分析した。政府が関連予算を拡充していることもあり、今後もワーケーション市場の拡大は続く見通しだ。
矢野経済研究所はワーケーションを巡る現状について「雇用者である企業の制度が対応できておらず、市場基盤が整っていない状況である」と指摘した。現状は個人で自主的にワーケーションを実践している働き手が多い。今後の市場拡大に向けては場所を選ばない新たな働き方に対して企業の理解が深まり、制度面の整備が進むかどうかがカギを握りそうだ。

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