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中華圏で成長する半導体ファブレス、最先端技術けん引

世界の主要国・地域が半導体サプライチェーン(供給網)の整備を急ぎ、特に工場の誘致競争が目立っている。確かに工場は供給網の重要な一部だ。しかし、その顧客に当たるファブレス(工場無し)メーカーが米国に続いて中華圏で成長している事実を把握しておかなければ、振興策の方向を誤る恐れがある。

米調査会社ICインサイツは2020年の世界の半導体の販売シェアを本社所在地・業態別でまとめている。所在地別では55%を占める米国は別格として、アジア勢は韓国(21%)、台湾(7%)、日本(6%)、中国(5%)と続く。

業態別では韓国と日本が似ており、半導体チップの回路設計と製造を1社で完結させる総合メーカーの比率が高い。しかし、回路設計に専念し、チップ製造は外部に委託するファブレスの世界シェアは日韓とも1%にとどまっている。

世界の半導体産業では21世紀に入り、米シリコンバレーが起源とされるファブレスと、製造専業の「ファウンドリー」の水平分業が進んだ。ファウンドリーは主に中華圏に立地し、台湾積体電路製造(TSMC)が代表格となっている。

一方で見落としがちなのは、中華圏でもファブレスが成長していることだ。台湾は聯発科技(メディアテック)を擁し、20年の世界のファブレス市場ではシェア18%と米国(64%)に次ぐ2位。中国では華為技術(ファーウェイ)系の海思半導体(ハイシリコン)や紫光集団系の紫光展鋭(UNISOC)が育ち、シェアは15%に達した。

「半導体の微細加工技術はファブレスによる需要がけん引している点に注意すべきだ」。機械振興協会経済研究所の井上弘基首席研究員はこう指摘する。

ICインサイツによると、世界の半導体販売に占めるファブレス比率は32.8%(20年)。ただ、スマートフォンのCPU(中央演算処理装置)など最先端チップは大半をファブレスが設計し、需要から微細加工技術をけん引している。

韓国はサムスン電子が最先端チップの需要家として君臨しており、アジアの中では現在、日本だけがけん引役の見当たらない状態となっている。井上氏は「工場の誘致に偏った半導体振興策はバランスを欠いている」と訴える。

TSMCが建設する熊本県の工場は画像センサーの補助チップが主な生産品目とみられ、最先端の加工技術を導入しないのは経営判断として合理的だ。日本はファブレスなど最先端チップの需要家の育成に目を向けねば、アジア勢との差は縮まらないのではないか。

(アジアテック担当部長 山田周平)

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