東電系と三井不動産、再生エネ販売で提携
ビルテナント向け 計27万㌧のCO2削減へ
東京電力ホールディングス傘下で電力小売りを手掛ける東京電力エナジーパートナー(EP)は21日、再生可能エネルギー由来の電力の販売で三井不動産と提携すると発表した。東電EPが2021年度から、三井不動産が保有・転貸するオフィスビルや商業施設の入居者に再生エネ電力を販売する。東電EPは電力小売り自由化で競争環境が厳しくなる中、三井不動産のビルなどの販路を確保し収益の向上を目指す。

両社が同日、「使用電力のグリーン化に関する包括協定」を締結した。対象期間は21年度から30年度まで。東電EPは第1号案件として、21年4月から「東京ミッドタウン日比谷」(東京・千代田)に再生エネ由来の電力を販売する。30年度までに約6億キロワット時の電力の販売を目指す。同量の電力を販売した場合、約27万トンの二酸化炭素(CO2)削減につながるという。
オフィスビルや商業施設では、その所有者が電力を一括で購入する。そのため、オフィスビルなどに入居するそれぞれのテナント企業が自由に再生エネ電力を導入するのが難しかった。同協定では、各入居者が使用したい再生エネの量を自由に決めて導入することができる。

東電EPが販売するのは、固定価格買い取り制度(FIT)の売電期間を過ぎた「卒FIT」と呼ばれる家庭の再生エネ電力だ。同社は家庭の「卒FIT」電力を買い取るサービスを展開している。買い取った電力に、化石燃料由来でないことを証明する「非化石証書」を付け、三井不動産の保有するオフィスビルなどに販売する。
世界的な脱炭素の流れから、事業の電力を再生エネ由来に切り替える企業の連合体「RE100」の加盟企業が日本国内でも増えるなど、再生エネ電力の需要は高まっている。東電EPは三井不動産と協定を結び、販売が難しいとされていたテナント企業への再生エネ電力の販売を始める。販路を広げ安定的な収益につなげたい考えだ。