バイデン大統領 分断克服への取り組みは?

ここが気になる
アメリカでは新型コロナウイルスによる死者が40万人を超え、失業増大で経済格差が戦後最悪となっています。国民の分断は一段と深刻化しており、バイデン氏には危機に陥ったアメリカ社会の再生が求められます。バイデン氏は「何百万人もの米国人が住居退去を迫られ、食料配給を待つという事態に直面している。今すぐ救済策が必要だ」と述べており、まずは巨額の財政出動で経済を立て直す方針です。
具体的には総額1.9兆ドル(約200兆円)となる経済対策のうち、まず1兆ドルを家計支援に充てます。高所得層を除いて1人当たり1400ドルの現金を支給するほか、失業給付の特例加算も引き上げます。このほかにも食料支援など低所得層の底上げ策に力を入れます。トランプ政権によるコロナ禍の経済対策は、格差をむしろ助長してきました。アメリカでは家計水準が一定水準を下回る「貧困率」が高止まりし、深刻な経済格差が首都暴動に発展した社会不安の根底にあります。バイデン氏は巨額の家計支援で格差を是正し、経済成長につなげたい考えです。
バイデン氏が経済復興の柱とする「バイデノミクス」の最大の弱点は財源です。米連邦債務は過去最悪で、国内総生産(GDP)比130%と第2次大戦時や金融危機時を上回っています。巨額の財政出動が成長に結びつかなければ政府債務はGDP比で上昇を続けかねません。バイデン氏には財政悪化を食い止めながら必要な財源を確保し、財政出動を通じてアメリカ国民の分断を修復するという難しいかじ取りが、就任早々求められることになります。
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2008年入社。小売業やサービス、放送業界などの取材を経て、現在は日経電子版のコンテンツマーケティングを担当。百貨店のセール時期は財政規律が緩み、無駄遣いしてしまいがちです。

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