電力料金を計算 ユニファイド・サービスが10億円調達

電力関連システムを手がけるユニファイド・サービス(東京・港)は、ゆうちょ銀行子会社のJPインベストメント(東京・千代田)と顧客情報管理の米セールスフォース・ドットコムから第三者割当増資で約10億円を調達した。同社は電力会社向けにユーザーの電気使用料金を計算するシステムを提供する。調達した資金は開発費にあて、システムの計算処理能力を高める。
ユニファイド・サービスは、セールスフォースの上級副社長と日本法人社長を務めた宇陀栄次氏が2004年に創業した。設立当初は国内中小企業向けにクラウド基盤をつくるサービスを展開していたが、15年に電力関連システム事業に参入。16年の電力小売り全面自由化を機に登場した新電力を中心にシステムを納入し、現在は27社が利用するサービスに成長した。納入先の電力会社が持つ顧客は現在82万件だがシステムの機能を高め、24年5月に240万件をカバーする規模に育てる狙いだ。
システムはセールスフォースのクラウド基盤で使えるソフトウエアとして、サブスクリプション(定額課金)型で展開。セールスフォースのクラウドはセキュリティーの高さを強みとしており、より強固な情報管理が求められる電力会社の信頼を得ているという。
脱炭素社会の実現に向け、宇陀代表は「再生エネの地産地消がより促される」と予測する。官公庁向けには、すでに再生エネ発電事業者の情報を管理するシステムを手がけるが、地方自治体や電力会社向けに地元の再生エネの取引を提案する新サービスの立ち上げも検討するという。
累計の資金調達額は約21億円となった。東京電力ホールディングスの小売事業会社である東京電力エナジーパートナー(EP)も出資している。