富士フイルム、iPS細胞でノロウイルス増殖 薬開発支援

富士フイルムは20日、iPS細胞由来の腸管上皮細胞を使ってヒトノロウイルスを増殖させることに成功したと発表した。ノロウイルスは体外で増殖させるのが難しく、ノロウイルス感染症は有効な治療薬やワクチンが無い。富士フイルムは製薬企業などに細胞を提供し、薬やワクチンの研究開発を後押しする。
富士フイルムの米子会社がiPS細胞の作製技術の特許を持ち、医薬品候補物質の安全性や有効性を試験するためのiPS細胞を外販している。iPS細胞からつくった腸管上皮細胞を使い、ノロウイルス増殖に関する研究を実施した。
研究では国内で確認された6種類の遺伝子型のノロウイルスをiPS細胞由来の腸管上皮細胞に感染させ、5日間培養した。5日目にはウイルスのRNA(リボ核酸)の数が初日の3~164倍になったという。
ノロウイルスは手指や食品などを介して感染し、腸管で増殖することで、嘔吐や下痢、腹痛などを引き起こす。国内の食中毒のうちノロウイルスを原因とするものの発生頻度が最も高く、海外でも発展途上国を中心に同ウイルスによる食中毒が多く発生している。
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