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イオン、ネット通販で翌日配送 小売り各社がDX加速

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イオンリテールは千葉県、愛知県、大阪府の大型スーパーから通販商品を発送する

小売り大手がインターネット通販の配送短縮や品切れ回避へ物流改革に乗り出す。イオンは専用倉庫に代えて複数の大型店から最大5万品目を発送し、東京など三大都市圏で翌日配送する。ファーストリテイリングは店舗在庫を通販に回す。米国ではウォルマートが店舗発の分散型配送で通販を急拡大させた。新型コロナウイルス禍で膨らむ通販需要を狙い、店舗とネットの融合が進む。

実店舗を配送拠点として通販事業に組み込む事業モデルは、ウォルマートや中国アリババ集団が先を行く。ウォルマートの事業改革は米アマゾン・ドット・コムなどに押されてきた伝統的小売業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の成功例とみられている。

日本の小売り各社が意識するのもアマゾンだ。同社は関東と関西を中心に全国に主なものだけで21カ所もの専用倉庫を構え、国内の広い地域で翌日配送を提供している。

イオン主要子会社のイオンリテールは、衣料品や日用品などのネット注文品を今夏までに、千葉県、愛知県、大阪府の大型スーパーから発送する体制に切り替える。従来は千葉県のネット販売専用倉庫から送っており、顧客に届くまで数日かかることもあった。

実店舗を使い複数の配送拠点を持つことで、東名阪地域では多くのエリアで翌日に宅配する。生鮮食品の通販では国内約200店舗から配送している。これを衣料品や日用品など3万~5万品目に広げ、アマゾンなどに対抗する。専用倉庫は廃止し年数億円のコストを削減する。

電子商取引(EC)向けに独自に注文や在庫を管理するより、店舗側のシステムで発注や在庫を一体管理する方が合理的と判断した。今後は各店舗が店での販売見通しにECの想定販売量を加味し、在庫をそろえるようにする。

実際の店舗を持つ点を生かしてアマゾンに対抗したい考えだ。家具などは店頭で実際の商品を見て質感や色合いを確認し、持ち帰る手間を省くためにネットで注文するといった使い方ができる。

ワークマンはネット通販の専用倉庫を8月にも廃止し、店頭在庫や店舗用の倉庫から商品を届けるしくみに改める。店舗をネット注文品の受け取り場所とも位置づけ、対象商品をパーカーなど従来の50品目から2021年中に最大150品目に増やす。注文の最短30分後に全国の約800店で受け取れるようにする。

実店舗主体で通販の事業規模が小さい各社がアマゾンと同じように倉庫を増やすのは難しい。在庫を抱え込むリスクも大きい。全国チェーンの小売業が既存の実店舗を配送拠点として活用することはリスクを抑えた現実的な対抗策といえる。

ファーストリテイリング傘下のユニクロは国内でのネット注文品を東京と大阪の専用倉庫からすべて発送していたが、店頭在庫を一部で併用する。近くの店に在庫があれば店から発送したり、店で受け取れるようにする。従来は通販用倉庫に在庫がないと入荷するまで顧客に待ってもらうこともあった。

中国の「ユニクロ」でEC事業の拡大を支えたしくみを取り入れる。現地では19年ごろからネットと実店舗の在庫を一元管理。会員は店の近くならばネットで注文後最短1時間で商品を受け取れる。17年当時10%だった中国での売上高に占めるEC比率は20年までに20%に高まった。

小売り各社が通販のサービス改善を急ぐのは、コロナ禍で消費のネット移行が加速しているためだ。総務省の調査によると日本でネット通販を使う世帯比率は21年3月に52.5%と、前年同月比8.7ポイント上昇。5年前と比べると2倍近くになった。

ウォルマートは3月末時点で米国内の6割にあたる約3000店を通販の発送拠点として運用し始め、対象店の近隣なら受注後2時間以内の宅配も可能にした。21年1月期のネット売上高を前の期比79%増と急伸させた。

アリババは16年に始めた生鮮スーパー「盒馬(フーマー)鮮生」で、店舗をネット通販の発送拠点にしている。20年12月に4000億円弱で買収した大手スーパーのサンアート・リテールについても、ネット宅配の拠点拡大に活用する。

実店舗の「倉庫化」について、ボストン・コンサルティング・グループの森田章マネージング・ディレクターは「究極的には集約した専用倉庫からの発送が効率的だが(多くの事業者はその段階に達するまで)時間がかかる。店舗の活用は経済性が高い」と話す。

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