青山商事が大規模リストラ 見えぬスーツの次
紳士服の「カテゴリーキラー」、遅れた企業変革
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紳士服専門店最大手の青山商事が、大規模リストラに着手する。コロナで在宅勤務が拡大し、主力のスーツ販売が激減。「市場は元に戻らない」(青山理社長)と判断し全店の2割を閉じる。経営のダイナミズムを取り戻すには、新しい収益源が不可欠だ。青山商事の苦悩は、独自の事業モデルで成功した企業が、時代に合わせて変わることの難しさを象徴している。
ピーク時から市場は7割減
「スーツ市場は1年で10年分縮んでしまった」
青山商事の青山理社長はそう語る。コロナ前から青山社長は、スーツ市場は10年後に最大4割減ると予想していた。だが大手銀行がスーツ着用の原則を見直すなど、服装のカジュアル化が進んだところにコロナが拡大。スーツ市場は激減した。
小島ファッションマーケティング(東京・渋谷)の推計では、2020年の国内スーツ販売は約400万着で18年から4割減った。ピーク時の1992年(1350万着)比で7割減だ。総務省の家計調査(2人以上世帯)によるとスーツへの支出額は20年(1~11月)で2608円。通年でも3000円程度とみられ、1991年(約1万9000円)の約2割に減る。
スーツ販売の減少を受けて21年3月期の青山商事の連結決算は大幅に悪化する。営業損益は128億円の赤字(前期は8億円の黒字)、最終赤字は292億円(同169億円の赤字)を見込む。
スーツ離れは05年のクールビズで顕著になり、コロナで加速した。かわって脚光を浴びるのが動きやすく機能的なビジネスカ...
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