Amazon出店企業買収で成長 新興6社が見つけた金脈

2020年に電子商取引(EC)の利用が激増し、特に米アマゾン・ドット・コムの売り上げが大幅に伸びたのを受け、個人や外部事業者が出店するアマゾンの「マーケットプレイス」を支える企業への関心が一段と高まっている。
具体的には、アマゾンで商品を販売するブランドを買収して成長させる投資スタートアップが20年7~12月に相次いで大規模な資金調達を果たした。

知っておくべきこと
・アマゾン出品ブランドを成長させるのは絶好のチャンス:投資各社は買収ブランドのタイプやその成長に伴う利益の分配方法は違っても、いずれもアマゾンのフルフィルメント(受注配送)インフラや有料会員「プライム」向け配送特典を活用できる「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)」プログラムに参加する外部事業者を対象にしている。商品開発やマーケティングなどの業務を支援してブランドを成長させることで利益を得る。
・20年のECシフトで恩恵:19年に創業した米パーチ(Perch)や、「アマゾン外部ブランド買収の最大手」と標榜する米セラシオ(Thrasio)などの大手は、20年のECシフトにより恩恵を受けた。セラシオは18年に創業したばかりだが、20年にユニコーンになった。両社は有望ブランドに超高速での対応と買収を約束している。他の4社は20年に創業した。
次の展開は
・マーケットプレイスは優勢:20年7~9月期のマーケットプレイスの販売個数はアマゾン全体の54%を占めた。20年10月の有料会員向けセール「プライムデー」での外部事業者のみの売上高は前年比約60%増え、アマゾン全体の伸びを上回った。アマゾンの発表によると、マーケットプレイス事業の売上高は前年同期比55%増と大きく成長している。このため同社はマーケットプレイスを育て、そこから利益を得ようとしているようだ。
・マーケットプレイスのブランド展開力が成長:この記事で取り上げた投資企業はアマゾンで商品を販売するブランドに特化している。こうした投資企業の成長もECが新規ブランドを展開するルートとして力をつけていることを示している。
・買収した外部ブランドの進化に注目:こうした比較的新しいスタートアップは今のところ、マーケットプレイスに出品する小規模ブランドのいわば持ち株会社だ。アマゾン以外のECでのメリットをうたっている企業もあるが、そのスキルはどちらかといえば、生産やサプライチェーン(供給網)、マーケティングをアマゾンの要件に合わせて最適化することにとどまる。
だが、この分野の専門家によると、モバイルバッテリーなどを手がけるマーケットプレイス出身ブランド「アンカー(Anker)」が20年8月に株式公開したことで、マーケットプレイスの小規模ブランドが既存勢力を破壊(ディスラプト)する可能性があるという見方が高まっている。このため、長期的には投資各社の採用や事業での優先事項を把握することが重要になるだろう。各社が大手に挑むようになるブランドを支援したり、分離・独立したりできるかどうかは、こうした点に示されている可能性があるからだ。
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