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ソフトバンクとニコン、光無線通信を事業化へ

カメラとセンサーで機器同士の光無線通信を確保する

ソフトバンクとニコンは18日、動く物体の間で光を使った無線通信を2025年度までに事業化すると発表した。人工知能(AI)による画像認識や精密制御の技術を使い、20年12月に実証実験を成功させている。自動運転やドローンの実用化が進むなか、高速通信規格「5G」を補助する仕組みや水中での通信環境の確立を目指す。

2台の光無線通信機器にカメラと赤外光のセンサー、画像認識の目印をそれぞれ取り付け、機器同士が常に正面を向き合う制御機構を実現した。水平では360度、垂直方向では50度の範囲で追尾し続けられる。100メートル離れた機器の間で、通信速度100Mbpsの通信を実証した。ニコンによれば、10メートルの距離で走る自転車を追尾できるレベルの性能があるという。

光は電波よりも直進性が高いため、位置がずれると通信が途切れてしまう。そこでAIを使い、カメラの映像から目印を認識する仕組みを採用した。1秒間に30回のペースで認識し続け、機器同士のずれを補正する。今後も実証を続け、1キロメートルの距離で通信速度1Gbpsを確保できる性能を目指す。

光は電波と比べて帯域の制約がなく、電波や電子機器と干渉しない。さらに水中でも使えるなど独自の利点を持つ。高速通信規格「5G」が途切れた場合に通信を補助したり、水中ドローン同士を無線で制御してデータを収集したりといった応用が期待されている。

事業化の分野は現時点で未定だが、映像配信の中継車に応用したり、高精度な追尾機能を無線給電やスポーツ中継などの領域に活用したりなど、市場を見極めながら追加の協業を模索する。

通信業界ではNTTグループが光技術を使ったネットワークのIOWN(アイオン)構想を進めるなど開発競争が激しくなっている。18日に都内で開催した技術デモの発表会で、ソフトバンクIT-OTイノベーション本部の丹波広寅本部長は「光無線通信技術を移動体に載せてどうやって使うか、実際に使うための技術を掘り下げている」と独自性をアピールした。

ニコンはレーザー光を使った金属3Dプリンターなど、主力の露光装置やデジタルカメラとは異なる領域での事業創出に力を入れている。執行役員の柴崎祐一次世代プロジェクト本部長は、今回取り組んだ画像認識や精密制御のノウハウが個々の新規事業と相乗効果を生むと期待している。「加工と計測は表裏一体。ドローンによる自動点検やロボットと組み合わせた工作機械など、広い分野に生かしたい」と語った。

(橋本剛志)

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5Gとは
現行の「第4世代(4G)」の最大100倍の速さの次世代通信規格。毎秒10ギガ(ギガは10億)ビットの最高速度はアナログ方式だった1980年代の第1世代の100万倍。2時間の映画を3秒でダウンロードできる。米国と韓国の通信大手が世界に先がけて商用サービスを始めた。

1Gから4Gへの進化は主に速さの向上だった。5Gは「多数同時接続」「超低遅延」という特徴が加わる。たとえば自宅で約100個の端末やセンサーを同時にネット接続できる。利用者が通信の遅れを意識することは格段に減る。

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