NTT東など、国産ドローンで新会社 まず農業向け

NTT東日本とシステム開発のオプティム、小型飛行機(ドローン)販売のワールドリンクアンドカンパニー(京都市)は18日、国産ドローンの製造販売からサービス提供までを手がける新会社を設立したと発表した。ドローンによる通信設備の点検や災害対応で蓄積したNTT東のノウハウを活用。農薬散布や土木工事の測量作業を効率化するサービスを提供する。
NTT東など3社は2月1日から共同出資会社「NTT e-Drone Technology」(埼玉県朝霞市)の事業を開始する。資本金は4億9千万円で、各社の出資比率は非公開だが、NTT東が筆頭株主になる。スカパーJSATホールディングスの子会社で、ドローン製造・販売を手がけるエンルート(埼玉県朝霞市)の事業の一部を新会社に移管する。新会社は5年後に年40億円の売り上げを目指す。
新会社は、まず農業分野でドローンの活用を進める。ドローンで農薬や種を水田や畑に散布するほか、画像など収集したデータを分析して農業の効率化につなげる。具体的には、空撮した画像から人工知能(AI)で害虫の被害を算出し、被害の状況に合わせて農薬を散布するサービスなどを提供する。今後は、NTT東が2019年に設立した、IoTを活用した施設園芸を手掛けるNTTアグリテクノロジー(東京・新宿)とも連携する。
新会社では国産ドローンのみを扱う。総重量が4~8㌔㌘と、一人でも運搬できる中型の機種で、2021年3月末までに150台、3年で2千台の製造販売を計画している。新会社の社長に就任する、NTT東日本の田辺博副社長は「ドローンはここ5~10年で大きく成長している。他の事業者とも協力し、社会実装を進めていきたい」と話す。
政府は国産ドローンの普及に向けて支援を拡大する。製品開発を後押しするために、資金調達を優遇する法案を2月にも国会に提出するほか、インフラ点検や災害対策の政府調達も広げる見通しだ。現状、ドローン市場では中国製がシェアの大半を握っており、新会社の立ち上げで国産ドローンの普及につなげる。