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サイバー保険に脚光 米Google、大手2社と提携

CBINSIGHTS
米グーグルはクラウドサービス「グーグルクラウド」の顧客向けにサイバー保険を提供するため、独保険大手2社と提携した。新型コロナウイルス禍でクラウド移行が進むなか、サイバー攻撃による被害が課題となっているが、そのための保険は新分野でリスクも読みにくく、適切な保険料などを算定する手法が確立されていない。その切り札となる保険とIT(情報技術)を組み合わせた「インシュアテック」などの動向をCBインサイツが分析した。
日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

企業のクラウド移行が続くなか、サイバー攻撃による被害額が増えている。このため、サイバーセキュリティー対策への関心は依然として高くなっている。一方で企業がサイバーリスク管理の一環としてサイバー保険に費やす額は、サイバーセキュリティー対策費よりもはるかに少ない。コアクラウドやサイバーセキュリティーソフトにサイバー保険を組み込むことで、この差を縮められる可能性がある。

サイバー保険料、サイバーセキュリティー対策費に比べるとごくわずか (世界の企業のサイバーセキュリティー対策費とサイバー保険料の推定、単位10億ドル)

米グーグルは3月上旬、クラウドサービス「グーグルクラウド」の顧客向けサイバー保険を提供するために、ドイツの保険大手アリアンツと同ミュンヘン再保険と提携したと発表した。まずは年間売上高が5億~50億ドルの米企業を対象に、最高5000万ドルを補償する保険を提供する。

アリアンツとミュンヘン再保険は顧客のサイバーリスクをより適切に評価し、各社に応じた補償を提供できるよう、グーグルクラウドと統合して顧客データにアクセスする。

知っておくべきこと

・サイバー保険とサイバーセキュリティー対策は総合リスクマネジメント計画の両輪 : 企業は新しいサイバーセキュリティー技術のおかげでサイバー攻撃をより簡単に発見し、防御し、対応できるようになった。だが、攻撃が成功した場合の金銭的被害は取り戻せない。サイバーセキュリティー対策とサイバー保険を一体化することで、顧客は便利な上にさらに包括的な方法でビジネスを守ることができる。

・アリアンツとミュンヘン再保険はリスク査定を改善するために顧客のグーグルクラウドのデータを活用する : サイバーリスクは複雑で大規模な被害を及ぼす可能性があるため、保険会社はリスク査定や保険料設定に苦労していた。アリアンツとミュンヘン再保険はデータ利用に同意したグーグルクラウドの顧客からリアルタイムで詳細なデータを得ることで、査定の判断をより素早く簡単に、正確に下せると考えている。査定の際には顧客企業が2要素認証を使っているかどうかなど他の情報も提供される。

・グーグルは引き続き保険分野に進出する : グーグルは数年前から保険業界に参加している。当初は自動車保険などの比較・購入サイト「グーグル・コンペア」によりディスラプター(創造的な破壊者)になろうとしたが、このサービスは2016年に終了した。最近では、どちらかといえば保険業界の投資家や代理店、技術提供者になっている。今回の新たなサイバー保険の提供はグーグルが保険事業をさらに推進するだけにとどまらない。米アマゾン・ドット・コムのクラウドサービス「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」や米マイクロソフトの同「アジュール」に追いつこうとするなか、グーグルのクラウドサービスにとって重要な機能になる可能性がある。

次の展開は

・サイバー保険のさらなるイノベーション(技術革新)が予想される : 既存の保険会社や、保険とITを融合させた新興の「インシュアテック」企業は、サイバー保険の(サイバーセキュリティー対策との)差を埋めるために様々なテクノロジーや戦略に目を向けている。サイバー保険はまだ比較的新しい市場だが、その潜在力の大きさから革新的なアイデアが続々と生まれている。

なかでもサイバー保険とサイバーセキュリティー対策を組み合わせたサービスは既に人気が高く、米アット・ベイ(At-Bay)や米コーリション(Coalition)など多くのサイバー保険スタートアップが顧客の被害を未然に防ぐためにサイバーセキュリティー対策の評価やサービスを提供している。なりすましや不正送金、ネット上の誹謗(ひぼう)中傷による個人の被害を補償するスイスの保険大手チャブの新商品「ブリンク・サイバー・プロテクション」は、個人向けサイバー保険市場を活性化する可能性がある。

全ての取り組みが成功するわけではないが、サイバー保険のさらなるイノベーションという全体的な傾向は続くだろう。

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