NECなどが次世代暗号技術で協会設立
粗悪なサービス・技術をしめ出す
NECなどは18日、次世代暗号技術の「秘密計算」の普及などを目的として協会を設立した。秘密計算は暗号化したまま生データが見えない状態で統計処理などができる技術。医療分野など個人情報を連携したサービスの創出や、海外との広域データ連携で役立つなど注目されている。
NECとセキュリティーベンチャーのレピダム(東京・渋谷)、デジタルガレージ(東京・渋谷)が中心となって発足する。例えば病院などのカルテの情報やゲノム情報などは、様々な研究で重要だが病院からは出しにくかった。秘密計算を使うことで、共同研究先が直接カルテなどを見ることなくデータを使えるようになる。欧州など個人情報の持ち出しを制限している国とのデータのやりとりでも活用が期待されている。
これまでは計算能力が足りず、計算にかかる時間が暗号化前の1億倍といわれるなど普及が遅れていたが、近年は10倍程度で計算できるようになった。NECは秘密計算を使ったサービスを2021年度中にも始める。普及が始まる時期に、不完全な技術やシステム構築のミスなどでセキュリティー事故を起こさないよう、セキュリティー要件などを定めて慎重に技術を育てる狙い。(小河愛実)