東急、シェアオフィスバスを実験 16日から
東急は15日、田園都市線のたまプラーザ駅(横浜市)などと東京都心部を結ぶ通勤バス「サテライトビズライナー」を報道陣に公開した。シェアオフィスを兼ねるとうたい、実証実験として16日から4月28日までの平日に運行する。新型コロナウイルス禍で鉄道利用が低迷するなか、働き方や生活様式の変化に合わせて新しい移動需要を捉える。

「時間を忘れるほど仕事に集中できた」。試乗した横浜市の40代男性会社員は満足げだ。乗車後すぐにノートパソコンを開き、チャットなどで同僚と仕事の打ち合わせを進めたという。電車より時間の有効活用になるとして「テレワークが増えたが、たまの通勤時は福利厚生で使えるようにしてほしい」と期待する。
バスは36人乗りで無料のWi-Fiやトイレを備える。パソコン台となる膝にのせるクッションも貸し出す。東急バスの新羽営業所(横浜市)を午前8時20分に出発し、たまプラーザ駅や渋谷駅を経由して終点の東京駅には同10時45分に到着する。1日1往復を設定し、帰りは午後4時25分に東京駅を出る。乗車後から勤務を始めるため、一般的な朝の通勤時間帯よりは遅めに運行する。

東急線の定期券を持つ会社員を主なターゲットに据えた新サービス「DENTO(デント)」の一環として実験する。デントのLINEアカウントや東急バスのウェブサイトから予約できる。たまプラーザ駅から渋谷駅までの大人運賃は1000円に設定し、通勤定期所持者は100円を割り引く。
テレワークが浸透し定期代を実費精算に切り替える企業が増えている。東急電鉄の4~12月の通勤定期収入は前年同期の約3割減に落ち込んだ。デントでは定期券所持者を対象に相乗りのハイヤーや、電車やバスの乗り放題券を格安で提供する。新サービスで定期券の継続購入を促し、沿線の移動・消費需要を喚起する考えだ。
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