外食・小売り、コロナ再拡大の影響は?

ここが気になる
日本経済新聞社が13日までに決算を発表した2月期本決算の消費関連の上場73社(業績予想の非開示企業を除く)を集計したところ、2020年12月〜21年2月期の営業利益は前年同期比5割減となる見通しとなりました。消費関連の上場企業の営業利益は1回目の緊急事態宣言が出た20年3〜5月期に52%減と落ち込んだものの、その後は回復基調をたどっていました。減益に転じるのは3四半期ぶりです。
コロナの再拡大で消費者心理が悪化し、売り上げに急ブレーキがかかったことが要因の一つです。特に新型コロナウイルスの感染拡大を受けた政府の緊急事態宣言の発令で、外食や旅行を中心に個人消費は一段と低迷する見通しです。実際、日本経済新聞が有力エコノミスト10人の試算を集計したところ、緊急事態宣言の発令による1~3月期の個人消費の減少額は5300億円から2.5兆円で、平均1兆281億円となりました。
特に外食産業では時短営業が業績に重くのしかかります。ファミレスを展開するサイゼリヤ(8月期)は8日から国内店舗の過半の550店超で営業時間を短縮しているほか、居酒屋大手のワタミ(3月期)は時短では採算が合わないため、直営の居酒屋業態83店を休業します。外食に加えて、アパレルなど小売業でも苦境が続いていますが、ニトリホールディングスや良品計画などコロナ下でも好調に業績を拡大する企業もあり明暗が分かれています。政府が緊急事態宣言の対象に関西の大阪、兵庫、京都の3府県と中部の愛知、岐阜2県、福岡、栃木両県の計7府県を加えるなど今後も消費環境は一段と激しさを増す見通しです。低迷する個人消費をいかに捉えることができるか、外食・小売企業の経営者にとって手腕が問われる局面が続きそうです。
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2008年入社。小売業やサービス、放送業界などの取材を経て、現在は日経電子版のコンテンツマーケティングを担当。在宅時間を充実させるため、ホットサンドメーカーを購入しました。

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