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中国発の消費財ブランド続々 供給網とECフル活用

中国発の有力な消費財ブランドがここ1、2年で続々と現れている。新興企業が中国国内ではなく、日米欧の若者を顧客基盤に成長している共通点がある。中国の充実した消費財サプライチェーン(供給網)とインターネット販売の手法が結び付き、新たな成長パターンが生まれている。

「海外市場を開拓している消費財ブランドの価値は2020年に収益化が始まった」。中国ベンチャーキャピタル(VC)の啓承資本は4月、こんな内部リポートをまとめた。

啓承は中国電子商取引(EC)大手、京東集団(JDドットコム)の投資部門の責任者が独立して16年に創業したVC。消費財分野に特化したVCで、10億ドル(約1100億円)規模の米ドル建てファンドを運用中だ。リポートでは、アパレルの「SHEIN(シーイン)」と電子機器の「Anker(アンカー)」を成功事例に挙げた。

シーインは14年に生まれたブランドで、中国製アパレルを越境ECで欧米市場に販売するのが主力事業。若者向けファッションが「ZARA」など競合に比べ2~5割は安い。江蘇省南京に本社を置く運営会社の20年の売上高は1兆円規模に膨らんだもようだ。

アンカーはスマートフォン用充電器やイヤホンなどガジェットのブランドだ。湖南省長沙で11年に設立された運営会社、安克創新科技は20年8月、深圳証券取引所の新興企業向け市場に上場。売上高の98%超を中国以外で占める独特な収益構造を公表している。

リポートは、シーインなどが現れた背景を3段階で分析した。①国内の供給網から商品を調達し、国内ECで売る中国ブランド群が10~12年に誕生②アマゾンなど欧米ECが13~18年に中国供給網から調達拡大③19年以降に有力ブランドが誕生――と分けている。

まず、「世界の工場」中国が供給してきた消費財の品質・価格競争力が①で強化され、世界に通用するデザイン力や販売手法を②で蓄積。①と②を経験した中国人材が海外で通用するブランドを立ち上げ、③に至るという流れになる。

中国の供給網とネットをフル活用するため、ブランド構築の時間が極めて短い。啓承は「中国発ブランドの予備軍は次々に現れている」(片矢東滋郎リサーチアナリスト)とみており、リポートでは家具やベビー用品も有力分野に挙げた。

日本の消費財メーカーの市場を奪う世界的ブランドが育ってくる可能性もある。その際に日本勢は対抗するのか、あるいは提携して成長力を取り込むのか。頭の体操を始めた方がよさそうだ。

(アジアテック担当部長 山田周平)

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