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VWはロボット方式 EV充電自動化ビジネスが熱い

CBINSIGHTS
電気自動車(EV)への急速な移行が進む中、自動車大手やスタートアップ企業がより効率的に充電するためにロボットや非接触充電といった新技術の開発に動いている。買い物で駐車中に運転手がいなくても充電を済ませるといったことが可能になる。新技術の動向をまとめた。

EVは規制の追い風とテクノロジーの進化に伴い、価格が手ごろになり、馬力が増し、電気の消費効率が改善している。このため、投資家はEVの未来に資金を投じている。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

EVメーカーや充電スタートアップ、バッテリー設計会社などEVエコシステム(生態系)のスタートアップへの2020年の投資額は111億ドルに達した。

投資家が特に大きな関心を寄せているのが、充電を手掛けるスタートアップだ。適切な充電インフラの構築はEV普及のカギを握っているからだ。消費者がEV購入をためらう理由の一つは航続距離への不安、つまり目的地に着くまでに充電が持たないのではないかという不安だ。

各社は充電速度の向上と充電インフラの拡充に取り組んでいるほか、充電プロセスの自動化にも注目しつつある。充電が自動化されれば商用EVを持つ企業は業務を削減でき、個人のEV所有者は利便性が増すうえに、いずれは自動運転車が勝手に充電できるようになる。自動運転車の実現可能性に懐疑的な見方が一部で高まっているが、企業は完全自動運転車が実用化される可能性に備えている。

このため、新興や既存の各社はロボットアームや自律移動ロボットからワイヤレス(無線)充電技術に至るまで自動充電システムの試行に取り組んでいる。

今回のリポートでは、こうした進化の先頭に立つ企業の一部について取り上げる。

自動EV充電とは

自動EV充電とは、ロボットやコンピュータービジョン(映像から様々な情報を得る技術)、無線充電技術を活用し、人間が介入することなくEVを充電できるシステムだ。

これがなぜ重要なのか

EVメーカーや充電スタートアップは自動運転EVが普及する未来を見据え、大量のEVを自動で充電できる基盤づくりに注目している。

自動運転車が完全に実用化されていない段階でも、自動充電システムが展開されればEV所有者や商用EVの運転手の利便性は高まるだろう。

どんなシステムがあるのか

1.充電ロボット

多くの企業がロボットアームや自律移動ロボットを使ったロボット充電システムの試作を進めている。こうしたシステムではコンピュータービジョンや自己位置推定(ローカライゼーション)技術を活用しており、ワイヤレス充電システムの課題の一つである正確な場所への停車は必要ない。

・ロボットアーム

いくつかの企業はEVを自動で判別して充電装置を挿入するロボットアームの開発に取り組んでいる。こうしたシステムではコンピュータービジョンと柔らかい素材を使ってロボットに柔軟性を持たせる「ソフトロボティクス」を活用し、緻密な作業に必要となる柔軟性と適応性を実現している。米EV大手テスラが開発中の充電ロボットアーム「ロボティック・スネーク」はメディアで大きく報じられた。

産業用ロボット大手の独クーカとオランダの充電スタートアップ、ロクシス(Rocsys)もロボットアームを自動でEVに挿入できる同様のシステムの開発に取り組んでいる。ロクシスはこのほど、オランダのEVバスメーカーEbuscoと提携し、車庫でEVバスに完全に自動で充電できるシステムを提供する契約を結んだ。

米国では、EV充電インフラを手掛けるエレクトリファイ・アメリカ(Electrify America)が19年8月、ロボットアームを使ってEVに自動給電する高速充電ステーションの展開に乗り出すと発表した。ロボットアームはEV高速充電システムの開発に特化するスタートアップ、米ステーブル・オート(Stable Auto)から調達する。

・自律移動ロボット

自律移動ロボットは立体や平面、地下の駐車場など様々な施設で利用でき、充電の柔軟性が大幅に高まる。こうした移動ロボットを使えばどんな駐車場や駐車スペースも充電インフラになる。

運転手がついていなくてもEVまで自動で走行して止まり、給電できるロボットの開発に取り組んでいる企業もある。例えば、中国の愛馳汽車(AIWAYS)は一般の充電ステーションや自宅、企業でアプリを使って呼び出せる自律移動ロボットを開発している。

独フォルクスワーゲン(VW)などが手掛けるシステムでは、自律移動ロボットが蓄電装置をEVまで自動で運んで接続する。EVに蓄電装置がつながると、ロボットは充電装置を次のEVに届け始める。

(出所:フォルクスワーゲン)

VWのシステムはモバイルアプリか路車間通信(V2I)で起動する。路車間通信はネットにつながった車とインフラが無線で通信し、情報をやりとりできる。

2.ワイヤレス充電

高級車に搭載されることが増えているワイヤレス充電は、運転手がワイヤレス充電パッドの上に車を停止させて実施する。各社は主に非接触充電システム(インダクティブ充電)か接触充電システム(コンダクティブ充電)を手掛ける。

・非接触充電システム(インダクティブ充電)

米ワイトリシティ(WiTricity)や米プラグレス(Plugless)、米モメンタム・ダイナミクス(Momentum Dynamics)、米レゾナント・リンク(Resonant Link)などEV向けワイヤレス充電を手掛ける企業の大半は、車両と充電装置を物理的に接続する必要がなく、磁界を活用して給電する非接触充電を採用している。

三菱商事が出資するワイトリシティは20年10月、3400万ドルを調達した。ワイトリシティは約10~25センチメートル離れた地点から停車中のEVに給電できる充電コイルを開発している。

(出所:ワイトリシティ)

ワイトリシティのシステムは既に中国で普及しつつある。中国は昨年5月、同社のシステムを国の標準規格に採用した。同社は大手自動車メーカーとも相次ぎ提携している。韓国の現代自動車は高級車ブランド「ジェネシス」の初の完全EVセダンにワイトリシティのワイヤレス充電技術を採用した。独BMWは高級セダン「5シリーズ」のプラグインハイブリッド・モデル「530e」でワイトリシティのワイヤレス充電パッドを使っている。

非接触充電システムのもう一つの注目企業は、ボルボから出資を受けているモメンタム・ダイナミクスだ。モメンタムは自動運転車や路線バス、商用トラック、産業車両など様々なEVに対応できるモジュール式の非接触充電プラットフォームを手掛けている。

モメンタムは今のところ、EVバスに力を入れている。米ワシントン州の公共交通機関リンク・トランジットと提携し、完全EVの路線バス向けワイヤレス充電システム(出力200キロワット)を開発した。

・接触充電システム(コンダクティブ充電)

オーストリアのイーズリンク(Easelink)などは接触充電システムの開発に取り組んでいる。接触充電では車両と充電装置が物理的に接続していなくてはならない。

それでもイーズリンクの技術は完全に自動化されており、車両の外部に可動部品を搭載する必要はない。システムがワイヤレス接続を使って確認・認証プロセスを終えると、車両は自動で充電パッドにつながれる。

イーズリンクは自動接触充電システムを開発するために、中国の新エネルギー車技術イノベーションセンター(NEVC)と提携している。

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