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LNG不足のなぜ 生産・物流混乱が壁 電力需給逼迫で

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞
三井物産が西豪州で参画するNWSプロジェクト(写真は同プロジェクト提供)

日本列島を襲った寒波の影響で全国で暖房の利用が増え、電力需給が逼迫している。要因のひとつとなっているのは、発電燃料となる液化天然ガス(LNG)の在庫不足だ。想定外の寒波に加え、パナマ運河の渋滞問題などLNGの国際的な物流網に遅れが出ている。複合的な要因が重なり、LNGの不足につながった。発電電力量の約4割をLNG火力に頼る日本に及ぼす影響の大きさが顕在化した。

日本を含め、中韓や台湾などでも厳冬による調達増で需要は旺盛だ。特に厳格な防疫体制をしいた中国は、新型コロナウイルス拡大の影響からいち早く生産活動が回復した。企業活動が持ち直して電力需要も増し、LNGの輸入を増やしている。

一方、供給面ではLNGの生産・物流で混乱が生じている。米国産LNGをアジアに輸出する際に経由するパナマ運河は、アジア向けの取引増で通行に時間がかかっている。メキシコ湾岸に集積する生産地では「輸送に影響が出ている」(大手商社)という。

2020年に世界各地のLNGプラントが相次いでトラブルに見舞われたことも供給不安に拍車をかけた。オーストラリアの大型事業「ゴーゴン」は定期修繕で見つかった設備不良の修理が長引いており、完了が3月末になる見通しだ。マレーシアやカタールのプラントでも設備不調による生産減が続く。石油天然ガス・金属鉱物資源機構の白川裕調査役は「生産トラブルがここまで同時に起こるのは初めて」と指摘する。

LNGは20年秋頃まで長らく需要が低迷していた。三井物産三菱商事らが参画する「キャメロン」など、米国で大型案件が次々と立ち上がったうえ、コロナ禍で供給過剰になっていたためだ。足元では供給不安から、アジアのスポット(随時契約)価格は100万BTU(英国熱量単位)あたり30㌦前後と最高値を更新。底値を記録した20年4月の2㌦弱から大幅に伸びた。

LNGは在庫不足が生じてもすぐには調達ができない。産地との長期契約が主で、スポット調達でも届くのに2カ月程度かかる。半導体と同様に生産から調達までのリードタイムは長く、寒波で需要が急増しても、LNGのサプライチェーンは需給の急変には対応しきれない。

冷却・液化して海上を運ぶ日本特有の調達方法も在庫不足につながっている。パイプラインによる調達や地下貯蔵が可能な欧米に対し、海に囲まれた日本はLNGをタンクで貯蔵する。タンクでの貯蔵は徐々に気化してしまうため、石油や石炭に比べて長期保存に向かない。今回は厳冬による一過性の不足との見方もあるが、原発再稼働がままならないまま、LNG火力に発電の大部分を依存する日本で、電力の安定供給をどう守るのか。寒波は日本の電力を巡る構造的な課題を投げかけた形だ。

(企業報道部 薬文江)

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