自動車系スタートアップの企業価値 米中が上位独占

テクノロジーは自動車産業のあらゆる分野を変革しつつある。
自動運転、コネクテッド(ネット接続)、シェアリングサービス、自動車販売のデジタル化は人やモノの移動に劇的な変化をもたらしている。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によりこのシフトはさらに加速している。ロックダウン(都市封鎖)に伴う自動車販売のイノベーション(革新)や、ECの拡大に伴う配達や物流への関心の高まりなどが主な例だ。
CBインサイツのデータを活用し、企業価値が最も高い未上場の自動車テック企業10社(編集部注:うち1社は英語原文を掲載後、米ナスダックに上場)を図に示した。
この分析ではベンチャーキャピタル(VC)の出資を受けている未上場の存続企業だけを対象にした。他の企業の子会社や、乗用の電気自動車(EV)に特化している企業は除外した。

主なポイント
・自動運転テックが主導 : 上位の大半は自動運転テック市場で活動している。CBインサイツの業界アナリストの推計では、この市場の規模は2兆9000億ドルに上る。米オーロラ・イノベーションや小馬智行(ポニー・エーアイ)などは自動運転のハードウエアとソフトウエアを全て自前で開発している。一方、米クアナジー・システムズや中国の地平線機器人(ホライズン・ロボティクス)は、自動運転車のセンサー「LiDAR(ライダー)」や自動運転向けAI半導体などのハードウエアを供給している。
・企業価値トップ3 : 企業価値が最も高い自動車テック企業は、画像認識ソフトウエアを手掛ける商湯科技(センスタイム)で、2020年12月時点の企業価値は120億ドルだった。2位はオーロラ(20年12月時点で100億ドル)、3位は小馬智行(20年11月時点で53億ドル)だった。
・地理的分布 : 上位10社(編集部注:英語原文を掲載後に上場した1社を含む)のうち7社(同)が米国のカリフォルニア州に拠点を置いている。残り3社は中国の各都市を拠点としている。
・資金調達トレンド : 上位10社の10年以降の資金調達額は合計96億ドルに上る。調達額が最も多いのはセンスタイム(26億ドル)だった。商用車向け車載器販売の米キープ・トラッキンを除く9社はいずれも20年以降に資金調達ラウンドを実施しており、21年に新たに調達を果たした企業は半数以上に上った。
・トップ投資家 : 上位10社への投資件数が最も多いのは、北京に拠点を置く五源資本(5Yキャピタル)だ。小馬智行、地平線機器人、センスタイムの3社に計10回投資している。
(編集部注:英語原文の掲載時から1社上場したため、本文などを一部改変)
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