PCR検査「1980円」 理研発スタートアップが事業化

理化学研究所発スタートアップであるダナフォーム(横浜市)は、新型コロナウイルスの感染を調べる唾液PCR検査を1980円で受けられるサービスを東京駅の近くで10日から始めた。最短2時間半で検査結果が判明し、無症状でも受けることができる。
東京駅八重洲南口から徒歩4分の距離に「スマートアンプステーション "駅前検査" 第1号店」(東京・中央)を開いた。唾液を採取した翌日に結果を通知する場合は1980円、当日中の通知は9900円という価格設定だ。唾液は施設内で採取するほか、郵送でも受け付ける。検査能力は今週は1日あたり300件、来週末までには6000件の検査が可能になるという。無症状でも感染が不安な人や帰省や海外渡航の前などに検査したい人のニーズを見込んでいる。5500円支払えば陰性証明も発行する。
価格設定について、ダナフォームの竹上雄治郎社長は「新型コロナ検査では収益は上げない。必要経費をまかなえるだけの価格設定にした」と説明した。ウイルスの検出に必要なロボット装置を自社で作ったり、特許を持つ試薬を使ったりしてコストを抑えた。また「今回の技術をジカウイルスやデングウイルスなどにも転用し、収益化を図っていく」という。
無症状の人が自費で行うPCR検査では、一般的なクリニックで2万5000~4万円、郵送の検査でも7000円程度が主流となっている。民間企業ではソフトバンクグループが唾液PCR検査を検査料1回2000円で実施している。ダナフォームは今後、施設を増やすことも検討している。
ダナフォームのPCR検査は「スマートアンプ法」と呼ぶ手法を使う。通常のPCR検査はウイルスの検出の際に検体の温度を上げ下げするが、同手法は一定の温度で検出できるため、より早い検出が可能になるという。
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