三菱地所、東京医科歯科大と包括協定 大学の不動産活用
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三菱地所は10日、東京医科歯科大学と不動産活用に関する包括的な協定を結んだと発表した。大学が持つ不動産を有効活用するほか、医療関連のオープンイノベーション拠点の運営で連携する。2017年4月に国立大学法人法が一部改正され、研究や教育の充実のため保有資産を活用する大学が増えている。三菱地所も教育機関との連携で事業拡大につなげる。
東京医科歯科大はJR御茶ノ水駅近くに湯島と駿河台のキャンパスを持つ。三菱地所は包括協定前、同大が御茶ノ水駅周辺に持つ土地活用の事業者に選ばれた。土地を60年間借り、オフィスや店舗で構成する11階建ての複合ビルを22年9月までに建設する予定だ。
同大は20年10月に指定国立大学法人の指定を受け、ヘルスケアやサイエンスの拠点設置を目指している。基礎研究などの強化へ、医療機関や医科大が集まるお茶の水周辺の立地を活用する計画だ。大企業や新興企業などとのオープンイノベーション拠点やヘルスケア拠点を作る構想もある。三菱地所は丸の内でフィンテック分野などのイノベーション施設を開設しており、施設で培った運営ノウハウを提供していく。
大学保有地の運用に関する規制緩和で、遊休地を活用する大学は多い。東京工業大学はJR田町駅前の付属高校を移した跡地を貸与。東急不動産やNTT都市開発などで作るグループが36階建て、高さ約180㍍の超高層ビルを30年にも整備する。大学との連携はデベロッパーにとって再開発の案件が増えるほか、企業同士のビジネス交流などで培った経験を生かし新たな事業につなげる機会にもなる。不動産会社と大学が連携する動きは広がりそうだ。