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日本製鉄、敵対的TOBで東京製綱株2割弱取得 

強硬手段で改革迫る 経営権は握らず効果に疑問も

(更新)

日本製鉄は9日、東京製綱に対するTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。東京製綱の経営陣が反対した敵対的TOBだったが、応募は買い付け上限を上回り、出資比率は9.9%から19.9%に高まる。資本の力を背景に経営体制の見直しを迫ることになるが、2割弱では経営への関与が限定的で効果を疑問視する声もある。

TOBは1株1500円で8日まで実施し、約214万株の応募があった。上限としていた162万5571株(発行済み株式の約10%)を買い付ける。敵対的TOBの成立は2020年のコロワイド大戸屋ホールディングスに対するTOBなどがあるが、大手製造業では珍しい。

自らも2019年まで買収防衛策を導入していた日本製鉄が、敵対的TOBという強硬手段を使ってまで出資比率を高めたのは、東京製綱の経営に対する強い不満がある。橋本英二社長は5日開いた中長期経営計画発表の記者会見でも「東京製綱の今の経営は我々の期待に合っていない」と批判していた。

東京製綱は自動車のタイヤ向けのスチールコードなどで強みを持つ

日本製鉄は東京製綱にワイヤロープなどの材料を供給している。20年3月期に24億円の最終赤字に転落するなど業績不振にもかかわらず、経営トップが長期在任し、取締役会の監督が機能していない点を問題視した。今後、東京製綱の別の人材を取締役として選任することや取締役会の多様性などについて協議していく。

東京製綱は9日、「日本製鉄と建設的な協議をする」とのコメントを発表した。ただTOBに対し、事業内容の変化など長期的な経営のための在任で、他社と比べてガバナンス体制が機能不全という批判は当てはまらないと反論しており、難航も想定される。

19.9%という出資比率は株主総会で単独で議案を拒否できず、「中途半端」(みずほ証券の菊地正俊氏)との声は多い。2割を超えて持ち分法適用会社にする場合は当局の「企業結合審査」が求められて時間がかかるため、まずは20%未満に抑えたとの指摘もでている。

あえて敵対的TOBという手段をとったのは「東京製綱株主に経営問題や我々の考えを広く伝えるため」としており、「他の株主の賛同を集め、自ら過半数を持たなくても影響力を及ぼせるとの考えも念頭にありそうだ」(山口利昭弁護士)。

市場では協議が不調に終われば日本製鉄がさらに比率引き上げに動くとの思惑もでている。JPモルガン・アセット・マネジメントは日本製鉄がTOBを公表した後の1月29日時点で東京製綱株を5.48%保有しているとの大量保有報告書を出している。

日本製鉄による敵対的TOBは「他の名だたる企業が敵対的TOBを経営の選択肢として選ぶ可能性が高くなっている」(IBコンサルティングの鈴木賢一郎氏)面も大きい。それだけに他の株主を含めて出資比率を限定的にした狙いや今後の協議について説明責任を果たし、成果を出せるかに注目が集まる。

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