オリンパス社長「顕微鏡事業は継続」

オリンパスの竹内康雄社長は7日、産業用の顕微鏡などの事業について「医療事業と親和性がある」として継続する方針を明らかにした。デジタルカメラなど映像事業を2021年1月に投資ファンドの日本産業パートナーズ(東京・千代田)に売却し、事業構造の見直しに区切りをつける。
科学事業と呼ぶ生命科学や工業用の顕微鏡や内視鏡について継続する方針を示した。科学事業は医療用と技術的な親和性が高く、デジタル化でも先行している。「医療機器の世界大手を目指すうえでも貢献する」と判断した。科学事業の20年3月期の売上高は1052億円と全社売上高の13%で、営業利益は100億円だった。
また主力の医療事業については、内視鏡の処置具や手術用器具などの治療機器を伸ばす方針を示した。4日には呼吸器向け内視鏡の処置支援システムを手掛ける米新興企業ベラン・メディカル・テクノロジーズ(ミズーリ州)を20年内に買収すると発表した。竹内社長は「治療機器事業の成長に向けた戦略的な投資だ」と説明した。
ベラン社の買収額は3億4000万ドル(約353億円)に上り、オリンパスの買収案件として、08年に英医療機器のジャイラスを2000億円強で買収したのに続く過去2番目の金額となる。肺がんなど肺の病変を内視鏡で採取する処置を安全にできるようベラン社のシステムで支援する。