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米制裁下でも半導体開発を続けるファーウェイの執念

ハイシリコンは半導体開発を続けている(同社の英字のロゴマーク)

中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が半導体の独自開発を継続している。米国による制裁強化のため半導体チップの製造委託先を失ったが、開発子会社のリストラは行わず、事業を維持している。米中摩擦で戦略物資として改めて脚光を浴びる半導体への執念を見せている。

ファーウェイは2004年設立の完全子会社、海思半導体(ハイシリコン)で自社製スマートフォンなどの頭脳に当たる半導体を開発してきた。ハイシリコンは半導体の開発に集中し、チップの製造は外部に委託するファブレス(工場無し)の事業形態をとる。

米政府は20年5月、米企業の製品・サービスを少しでも使う企業とファーウェイの取引を原則として禁止した。このため、チップ製造受託で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)などはハイシリコンからの新規受注を停止していた。

英調査会社オムディアの推計では、ハイシリコンの21年1~3月期の売上高は3億8500万㌦(約420億円)。自社製スマホ向けの在庫販売があったようだが、20年4~6月期のピークから87%も減少した。

ハイシリコンには現在、TSMC以外の製造委託先もなく、売上高は早晩ゼロになる公算が大きい。しかし、ファーウェイの陳黎芳取締役兼上級副社長は8日までに、日本経済新聞などの取材で「ハイシリコンの社員削減は考えていない」と語った。

ハイシリコンは現時点でも「半導体開発を続けている。確かにこの2、3年間は大変な状況が続くが、乗り越えられる」(陳氏)。実際に、5月には高精細の「8K」テレビの普及プロジェクトへの参画を発表するなど、新規事業を進めている様子はうかがえる。

陳氏は2、3年後にハイシリコンの事業環境が好転する根拠について、世界各国が半導体産業の振興に動いていることを挙げた。米国発の技術に頼らないサプライチェーン(供給網)が整備され、新たな製造委託先が現れると期待する。

ハイシリコンは20年時点で7000人以上の社員を抱えていた。最低2、3年は収益に貢献しない事業でこの規模を維持する負担は大きい。しかし、非上場企業であるファーウェイは社外の声に左右されず「経営陣が(ハイシリコン維持の)方向性を明示している」(陳氏)のだという。

ファーウェイはかねて米国とのハイテク摩擦に備え、旧約聖書の物語「ノアの箱舟」に例えて技術の独自開発を進めてきたとされる。ハイシリコンはその想定通り、大洪水をやり過ごす態勢に入ったかのようだ。

(アジアテック担当部長 山田周平)

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