HIS、22年度新卒採用見送り 新型コロナで業績低迷

旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が2022年度入社の新卒採用を取りやめることがわかった。新型コロナウイルスによる業績低迷が長期化している。渡航制限の継続で主力の海外旅行販売の回復に時間を要することなどから判断した。
HISは新型コロナによる渡航制限や外出自粛の影響で20年10月期の最終損益は250億円の赤字(前の期は122億円の黒字)と、02年の上場以来初の最終赤字となった。
同社は20年6月には旅行取扱高が前年同月比99%減と落ち込んだ。20年11月には需要喚起策「Go Toトラベル」事業で国内旅行が回復し同83%減まで戻ったものの、感染再拡大による事業停止により21年1月は同97%減と厳しい状況が続く。
21年度入社の新卒採用では約600人の採用を予定していたが、採用活動を途中で中止した段階で内定を出していた26人を採用する見込みだ。一方、システムエンジニアなど専門職の中途採用は今後も継続する。
コロナ禍で旅行会社は軒並み苦境を強いられている。業界最大手のJTBやKNT-CTホールディングス傘下の近畿日本ツーリスト各社でも22年度の新卒採用の見合わせを決めている。