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雇用調整助成金、制度見直しの理由は?

2021年1月7日の日本経済新聞朝刊1面に「雇調金 財源1.7兆円不足」という記事がありました。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、雇用の安全網である雇用調整助成金制度の見直しが急務になっています。休業手当を出して雇用を維持する企業の支援制度である雇調金をなぜこのタイミングで見直すのでしょうか?

ここが気になる

雇調金は従業員の休業手当の一部を国が補助する制度です。企業の保険料で支え合う仕組みで原則として雇用保険に加入する企業が雇調金を受け取ることができます。しかしコロナ禍で企業への支給額が急増したことで保険料を元手とする資金が枯渇してしまいました。雇調金の利用額は例年、数十億円でしたが、20年度は当初予算の35億円に対し、12月中旬までの決定額は2兆3千億円に達しました。

年6千億円規模の雇調金向けの保険料収入ではとてもまかなえないため、時限的な特例法によって雇用保険の積立金から1兆7千億円を借りて穴埋めをすることで対応しています。借り入れは返済が前提ですが、今回の額は過去のケースと比べても桁違いで返済の見通しは立っていません。また新型コロナを巡っては、再び感染が拡大しており、政府は7日に20年春以来の緊急事態宣言を首都圏で発令するなど厳しい状況が続きます。特に飲食業界などを中心に雇調金が必要な状況が長引く可能性が高まっています。しかし財源は厳しく、臨時活用する雇用保険の積立金も21年度に底をつく見通しで限界が近づいています。

雇調金制度の課題が浮き彫りになる中、経団連などは国の一般会計の負担拡充を求めています。固定的な保険料頼みではなく、必要に応じて財政投入できるようにすることで、柔軟な危機対応ができるようにする狙いです。雇調金制度を今後も安定して持続できるようにするには本体部分も含め財源の幅広い検討が必要になりそうです。コロナによる景気悪化で、厳しい環境に置かれている企業や人々を少しでも多く救うためにスピード感を持って対応を進めてもらいたいと思います。

若手編集者が同世代にむけて新聞の読みどころを発信する「朝刊1面を読もう/Morning Briefing」は平日朝に公開します。もっと詳しく知りたい人は1月7日の朝刊1面を読んでみてください。
この記事をまとめた人:篠原英樹
2008年入社。小売業やサービス、放送業界などの取材を経て、現在は日経電子版のコンテンツマーケティングを担当。決して「若手編集者」とは言えない年齢ですが、わかりやすく朝刊のポイントをお伝えしていきたいと思います。

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