セルフレジの利用客6割に スーパーも導入、民間調査

買い物で顧客が会計するセルフレジの普及が拡大している。調査会社マイボイスコム(東京・千代田)によると、過去1年間にセルフレジを利用した顧客は6割にのぼった。イオンは傘下のスーパー1000店にスマートフォンを活用した仕組みを導入するほか、コンビニエンスストア中堅ミニストップは無人小型店を展開するなど、小売り各社の対応もIT(情報技術)の活用で深化している。
新型コロナウイルスの拡大を受け、小売り各社は顧客と店員の接触を減らす効果を見込んでセルフレジの導入を急いでいる。イオンはスマートフォンを使って買い物客がバーコードを読み取る仕組みを2021年以降に傘下のスーパーに順次導入する方向だ。
イオン傘下で「マルエツ」などを運営するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)や、「イオン」を手がけるイオンリテールなど3子会社が対象となり、実施規模は約1000店にのぼる。
ミニストップのフルセルフレジを導入した無人小型店は扱う商品を菓子や飲料などに限定し、キャッシュレスで支払う仕組みだ。21年度中に1000カ所での展開を目指す。サミットなどスーパー各社も店員が商品をスキャンしてから、顧客が精算機で支払うセミセルフレジの普及を進めている。
マイボイスコムの調査によると、商品スキャンから会計まで顧客が担うフルセルフレジを過去1年間に利用した顧客は61%。2年前の調査と比較して4ポイント増えた。フルセルフレジの利用頻度の内訳をみると「設置店舗利用時は、ほぼ毎回利用する」のは12%だった。「設置店舗利用時は、利用することが多い」と「設置店舗利用時は、利用しないことが多い(たまに利用)」の回答はそれぞれ25%にのぼった。

フルセルフレジを利用した店舗については(複数回答)、「スーパー」が最多で53%だった。「衣料品店」(13%)と「コンビニエンスストア」(10%)はそれぞれ2年前の調査と比較して比率が増えた。利用する場面については(複数回答)、「対面式レジやセミセルフレジが混んでいる」(54%)や「買うものの数が少ない」(42%)などの回答が多かった。
今後の利用意向はフルセルフレジ、セミセルフレジともに5割を占めた。10~50代男性でフルセルフレジの利用意向の割合が高いほか、10~20代女性のフルセルフレジの利用意向は6割を超えた。60~70代女性はセミセルフレジの利用意向が高かった。
調査はマイボイスコムが20年12月、10~70代の男女を対象に実施した。有効回答数は1万249人。
(企業報道部 矢崎日子)