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ルネサス、車一本足から技術の「よろず屋」へ転換狙う

事業戦略を説明するルネサスの柴田社長(3日)

ルネサスエレクトロニクスは3日、事業戦略説明会を開いた。大型M&A(合併・買収)を通じ、自動車中心だった事業領域を産業・インフラ分野に広げていることを強調した。技術の「よろず屋」となることで新型コロナウイルスの感染拡大や米中摩擦など、想定外のリスクへの対応力を高める狙いだ。データセンターや高速通信規格「5G」といった成長市場を機動的に開拓できる体制づくりを急ぐ。

「様々なことが起きる状況なので、1つの地域(や分野)に集中するのではなく、バランス良く展開する」。オンライン説明会で柴田英利社長は、こう強調した。同社は2017年に米インターシル、19年に米インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT、現ルネサスエレクトロニクスアメリカ)を買収し、車載以外の事業を拡大してきた。

ルネサスの20年12月期は産業・インフラ・IoT部門の売上高が前の期比10%増の3636億円だった。自動車向けはコロナの影響を受けて受けて8%減の3410億円だったが、その影響を吸収した格好だ。産業・インフラ・IoT部門の全体の売上高に占める割合は50.8%と、車載向けを逆転した。

産業・インフラ・IoT部門の追い風となったのは「巣ごもり需要」だ。データセンター向けの電力管理需要が拡大した。5G向け事業では米中摩擦を受けて華為技術(ファーウェイ)など中国企業が失速したが、柴田社長は「市場拡大のストーリーとしては良い未来を描けている」と話した。

ルネサスは主力機器の動きを制御する「マイコン」の技術と買収先の圧力や温度などのデータを処理するアナログ半導体の技術を組み合わせ、新たなシステムを作る「ウイニング・コンボ」戦略を進めている。サイレシュ・チッティペディ執行役員常務は説明会で「グループの技術を組み合わせることで、どのような市場に対してもワンストップでソリューションを提供できるようになる」と述べた。

2月には英半導体大手のダイアログ・セミコンダクターの買収を発表した。ダイアログは小型・低消費電力の電源ICに強く、小型IoT機器などに使われる。組み合わせ戦略に使える技術の幅が、さらに広がることになる。こうした取り組みは車載半導体の事業拡大にもつながる。これまでは主力のマイコンによる「走る」「止まる」といった制御が中心だった。ここにアナログ半導体や電源管理などが新たに加わる。すでに電源管理とアナログ半導体を組み合わせた車載向けのシステムを開発し、中国やインドの新興の自動車メーカーなど新たな顧客の開拓を進めている。

今回の事業戦略説明会ではソフトウエアの強化も打ち出した。これまでルネサスの製品は「性能は良いが使いにくい」と言われることが多かった。そこで開発ツールを提供したり、ホームページ上で製品のシミュレーションできるサービスを始めたりといった工夫をしている。柴田社長は「ソフトやツールを充実させ、多くの人に使ってもらうことで、顧客が何を求めているかや市場の方向性が分かる」と語った。

今後は様々な分野でデータセンターや人工知能(AI)、5Gなどを使った市場が立ち上がる。主力の自動車市場も電気自動車(EV)シフトや自動運転などの転換期を迎えている。1つの分野に依存するのではなく技術や事業構成のバランスを整えることで、「成長市場に素早くアドレスできるようにする」(柴田社長)構えだ。

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