/

中国ネットアニメの先駆者が日本で再び創業した理由

中国でネットアニメの市場を切り開いた経営者が日本で再び創業に挑んでいる。映像配給を手がける面白映画(東京・中野)の董志凌代表取締役だ。日本でも中国アニメに一定の需要があると判断しており、呼応した日本のエンターテインメント企業7社からこのほど出資を受け入れた。

「世界3位の映画市場であり、新たな挑戦の場にふさわしいと思った」。董氏は2019年に日本で創業した動機をこう語る。上海出身の董氏は09年に、大学時代からの知人ら4人で漫画専門サイト「有妖気」を創設した経営者だ。

12年には、有妖気で連載した漫画を原作に「十万個冷笑話」というネットアニメを制作した。中国コンテンツというと政治的な中身を想像しがちだが、十万個冷笑話はたわいもないギャグ。これが若者に受け、中国ネットアニメの草分けといえる作品へと育った。

ただ、成功を境に「共同創業者以外の大株主と考え方の違いが生まれた」(董氏)。有妖気の株式を手放し、17年に別の中国アニメ会社の創業メンバー兼日本事業責任者として来日。この職務を兼務しつつ、19年に面白映画を創業した。

少しずつ実績も積んでいる。黒猫の妖精が主人公の中国アニメ映画「羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)」について、19年9月に始まった日本語字幕版の配給を担当。その市場分析を踏まえて吹き替え版の制作も手配し、20年11月からの全国公開につなげた。

7月からは、中国の追光動画と米ワーナー・ブラザースが共同制作したアニメ映画「白蛇:縁起」を日本で共同配給した。22年の上映作品も確保済みだ。在日中国人から日本人へと観客を広げ、映像の二次利用やグッズ販売も収益源に育てるシナリオを描く。

「中国のアニメ産業も外国人が単純に楽しめる作品を生み始めた。アニメ先進国の日本でも知ってもらいたい」(董氏)。中国コンテンツの海外進出には共産党支配を翼賛する宣伝臭さがつきものだが、面白映画は一線を画し、政治とは無縁の娯楽アニメをビジネスとして日本で広げる考え。

10月までに、老舗アニメ制作会社のぴえろ(東京都三鷹市)など、面白映画の経営方針に賛同した日本のエンタメ7社が合計で1億1千万円を出資した。中国の創業ブームが日本にあふれ出し、日本企業を巻き込み始めた構図といえる。

K-POPやドラマなどの韓流コンテンツは日韓関係が戦後最悪といわれる現在も、日本で根強い人気を保っている。日中間で同様の現象が起きても、決しておかしくはない。

(アジアテック担当部長 山田周平)

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン