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中国発サステナ素材、日本の職人技でアパレルに変身

増産が進む中国産の生分解性プラスチックが流行のアパレルへと変身しようとしている。耐熱性や染色性に劣るため、従来は食器やレジ袋の代替素材だとみられてきた。これを日本の繊維・生地の伝統的な職人技で改良し、欧州のアパレルメーカーなどへの販路を開きつつある企業がある。

ハイケム、トウモロコシを原料に

「化学屋の発想では実現しなかった」。化学商社ハイケム(東京・港)の高裕一取締役はこう語る。同社は2021年12月、「ハイラクト」のブランド名でトウモロコシを原料とする生分解性プラ、ポリ乳酸(PLA)の繊維を発売した。

中国出身の創業者である高潮社長の人脈で20年、中国PLAメーカーの安徽豊原集団に出資し日本での販売契約を締結。豊原は年産能力10万㌧と世界2位のPLAメーカーだが、同30万㌧の巨大プラントを今夏稼働させ、首位に立つことが確実視されている。

高取締役はPLAの用途としてアパレル向け繊維を着想したが、当初は父親の高社長から反対されたという。日本の化学大手もPLA繊維の商品化を試みてきたが、耐熱性など技術的な弱点を克服しきれていない。技術者である高社長はその経緯を熟知していた。

「日本の繊維・生地産業の知恵を借りたい」。高取締役は反対を押し切り、21年初めにPLA繊維の事業化を決定。現在までにアパレルや生地の専門家4人を中途採用し、合成繊維の福井県、デニム生地の岡山県など日本全国の伝統的な繊維産地に売り込みをかけた。

耐熱性には課題

先入観のない繊維・生地の職人は、綿などの天然繊維や植物由来の改質剤を混ぜ、PLA繊維をアパレルに使える品質まで着々と高めてくれた。高取締役は「職人さんが改善策を提案してくれる日本だから実現した。中国にはない事業環境だ」と断言する。

すでに生地メーカーの小野莫大小工業(東京・江東)や繊維商社のタキヒヨーとハイラクトの供給契約を結び、アパレル製品が今年の秋冬物として登場する見込み。欧州や日本のアパレル大手との商談も始まったという。

アイロンがけの制約など耐熱性の問題は残り、価格は1㌔㌘12㌦(約1560円)前後とポリエステルの3倍の水準。ただ、欧州ハイブランドが高コスト覚悟でサステナブル素材の採用を広げる追い風があり、ハイラクトは24年に売上高50億円の目標を掲げる。

日本がPLAなど素材自体の量産規模を中国と競うのは、もはや現実味がない。ハイケムの取り組みは、中国が苦手とする技術やノウハウを補えば日本の商機になることを示している。

(アジアテック担当部長 山田周平)

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