/

ヤクルト山田哲、主将就任 自ら名乗りに込めた決意

2月23日の巨人との練習試合で二回に特大の2ランを放った山田哲=共同

プロ野球ヤクルトの山田哲人が心機一転、プロ11年目のシーズンに挑む。2020年に国内フリーエージェント(FA)権を取得したが残留を表明。自ら直訴して新主将に就任した。キャンプ中には若手に積極的に声をかけるなど、これまでと違う顔をのぞかせた。新たなモチベーションを得て、4度目のトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁)達成へ歩みを進めている。

2月23日の練習試合・巨人戦。山田は二回2死二塁で打席に立つと、ドラフト1位新人の平内龍太(亜大)の高めに浮いた変化球を完璧に捉えた。打球は左翼後方のネット付近まで届く特大の2ラン。順調な仕上がりを感じさせたが、本人は「たまたまかな。試合勘はまだ無い」と冷静だった。

昨季はらしくないプレーが続いた。上半身のコンディション不良に悩まされ、94試合で打率2割5分4厘、12本塁打、8盗塁。トリプルスリーには遠く届かない数字に終わった。「プロ野球選手としてふがいない成績だった。新型コロナでいつもと違う生活を送る方々にパワーを与えたかったのに……」。シーズン後には悔しさをかみしめた。

国内FA権を取得したことで、移籍という選択肢も考えたという。「環境を大きく変えたい、パ・リーグに挑戦したいという気持ちも正直あった」。それでも悩み抜いた末に残留を表明。7年総額で約40億円(推定)という大型契約を結んだ。「監督や選手、ファンから残ってほしいという言葉を多く頂いた。自分の居場所はこのチームだなと感じた」

山田哲はキャプテンに就任し、新たなモチベーションを得てシーズンに臨む=共同

多くのファンを驚かせたのが、高津臣吾監督に自ら主将への就任を申し出たことだ。「自分自身モチベーションも上がるし、チームにとってプラスになることが大きいんじゃないかと思った」。もともと言葉数は少なめで、先頭に立ってチームを鼓舞するようなタイプではない。主将を務めるのも小学4年生以来だという。

周囲も山田の変化を喜んでいる。「哲人が若手とベテランの間に立ってチームを引っ張っていくのは一番理想の形」と高津監督。キャプテンマークを託した青木宣親も「中堅・若手の選手に立ち上がってほしいと思っていた。自発的に言ってくれたのはすごくうれしい」と歓迎した。

2月のキャンプでも、山田なりのキャプテン像を模索する姿が見られた。初日には野手陣を前に「競争も、協力も必要だと思う。みんなで良いチームをつくっていきましょう」と呼びかけた。チームメートの練習にも積極的に協力。ドラフト1位入団して2年目の奥川恭伸のブルペン投球の際には自ら打席に入り、打者目線でのアドバイスを送った。

キャンプ中には2年目・奥川の投球練習に協力するなどキャプテンらしい姿をのぞかせた=共同

「正直自分は元気が無いかもしれないし、覇気も無いかもしれない。それでも野球に対する姿勢や考え方、(試合で残す)結果で引っ張っていきたい」と山田。グラウンドで大声を張り上げているわけではないが、その気持ちは周囲にも伝わっている。

4番の村上宗隆は「哲さんはチームの回り方を良くしようとか、いろんなところに気が利く。背中で引っ張ってくれているので、僕たちもついていきたい」と主将の姿に刺激を受けているようだ。1月に自主トレーニングを共にした捕手の中村悠平も「今年にかける気合、意気込みをうかがえた」と明かす。

打撃でもさらなる高みを目指す。キャンプ中には青木に助言を求め、室内練習場で下半身の使い方などについて指導を受けた。青木の教えに自分の感覚を取り入れ、フォームを完成させる考えだ。結果も出始めている。キャンプ最終日となった28日の練習試合でも、阪神のチェン・ウェインから本塁打を放った。

過去3度達成したトリプルスリーからは18年を最後に遠ざかっている。選球眼には疑いのない山田にとって、1年を通じてコンディションを維持できるかが偉業達成へ向けたカギとなるだろう。不調に苦しんだ昨季の反省から、年末には「(自主トレ期間中は)体を見つめ直すという部分が一番大事。下半身であったり上半身だったり背筋だったり、一個一個見つめ直したい」と語っていた。

昨季チーム防御率で両リーグ最下位の投手陣には今年も不安を抱える。チームの上位進出に向けては主砲・村上の活躍とともに山田の復活が絶対条件だ。「トリプルスリーは毎年の目標。今年こそはという気持ちで、数字にもこだわってやっていきたい」。寡黙な新主将が決意のシーズンに臨む。

(木村祐太)

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン