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コロナ禍でも使える中国・深圳のハードウエア生態系

新型コロナウイルス禍に伴う日中ビジネスの変化の一つに、日本企業による「深圳視察」が消えたことがある。技術の社会実装や創業が盛んな広東省深圳市の視察だが、実際のビジネスにつながらない例が多かった。それとは対照的に、深圳をフル活用しているスタートアップ企業がある。

セブンとビニール傘「循環」

GREEN UTILITY(東京・新宿)は2月末、セブン―イレブン・ジャパンと共同で「Re:傘」と呼ぶサービスの実証実験を始めた。共同開発したビニール傘の販売・回収装置を東京都内の一部店舗に置き、7月まで続ける。

顧客はセブングループの電子マネー「nanaco(ナナコ)」で傘(税込み1100円)を買うが、装置に戻せば400ポイントもらえる仕組み。壊れた傘でも回収の対象となる。国内で年間1億本超が販売されるビニール傘を少しでもリサイクル資源として循環させる試みだ。

「深圳のモノづくりのエコシステム(生態系)を生かし、日本で新たなサービスを提供したい」。日本IBMの技術者などを経て2018年8月にGREEN UTILITYを創業した李展飛社長はこう語る。

同社はスマートフォン用バッテリーの貸し出しサービスで事業を始め、KDDIが低価格携帯プラン「povo(ポヴォ)」のキャンペーンの一環に採用。コロナ対策マスクを1枚ずつ売る自動販売機を開発し、不動産大手が都内で運営するインキュベーション施設に納めることも内定した。

いずれも装置の製造は深圳の業者に委託してきた。一方で、装置は米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のクラウドシステムとつながっており、スマホ決済や利用情報の収集が可能だ。あらゆるものがネットにつながる「IoT」の事業モデルを確立している。

得意のガジェットに集中

李氏は中国出身だが、深圳に初めて行ったのは18年2月。創業までの半年間で通い詰め「50社以上の開発・製造委託先を開拓できた」(李氏)。日本の大手企業でも納得する品質のハードウエアを短納期で調達するルートを確保した。

日本では16年ごろから深圳のイノベーション(技術革新)が注目され、コロナ前まで視察ツアーが相次いだ。しかし、「世界の工場」として発展した深圳の革新がモノづくり偏重である点を踏まえず、通り一遍な視察希望が中国側に敬遠される事例が増えていた。

李氏はガジェット(目新しい電子機器)という深圳の得意分野に集中した視察でその生態系に入り込んだ。コロナ禍で現地入りできない制約下で深圳を活用する手法は、日本の産業界にも参考となりそうだ。

(アジアテック担当部長 山田周平)

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