/

こども政策ぜひ実現して 中室牧子さんらとThink!

日経電子版「Think!」は、各界のエキスパートが注目ニュースにひとこと解説を投稿する機能です。3月24〜31日の記事では、慶応義塾大学総合政策学部教授で東京財団政策研究所研究主幹の中室牧子さんが「こども政策ぜひ実現して」を読み解きました。このほか「トランプ氏を起訴」「三菱とみずほ、何が分けた」といったテーマの記事に投稿が寄せられました。振り返ってみましょう。(投稿の引用部分はエキスパートの原文のままです)

「こども政策ぜひ実現して」をThink!

こども政策ぜひ実現して! 親たちが切実に希望するのは(3月25日)
4月にこども家庭庁が発足する。他の省庁と連携して柔軟な支援ができるかが注目を集める。子育て中の1000人に、実現してほしいこども政策について聞いた。

中室牧子さんの投稿】文部科学省が発表している「学習費調査」をみてみると、学費や給食費など学校教育にかかる支出は、公立小学校で年11万円、公立中学校で18万円だ。それに対して、学校外教育にはそれぞれ約2〜3倍の21万円、31万円が支出されている。とくに私学に通わせていたり、塾や習い事に行かせていたりする家庭の教育費の総額は一貫して上昇している。迂遠なようだが、王道なのは、やはり公教育の質を高め、私学や塾などに多くのお金をかけずに済むような状況にすることではないか。公教育の質が高ければ、家計の経済的負担を減らすことができるし、教育格差の解消にもつながる。

「トランプ氏を起訴」をThink!

トランプ氏をNY州大陪審が起訴 米大統領経験者で初(3月31日)
米ニューヨーク州の大陪審は30日、トランプ前大統領を起訴すると決めた。米主要メディアが報じた。不倫関係にあった女性に支払った口止め料を不正に処理した疑いがある。米メディアによると、大統領経験者が起訴されるのは初めて。

中林美恵子さんの投稿】起訴状の内容が明らかになるのは、来週前半とみられる。トランプ氏に罪状認否の機会が与えられる際だろう。(34の嫌疑があるとの報もあるが。)その後は審理陪審(小陪審)へ移る。ただ、アルビン・ブラッグ地区検事が民主党員で民主党政治家への献金者であることは、民主党による選挙妨害だという声につながっている。トランプ氏が住むフロリダ州のデサンティス知事は、トランプ氏をニューヨーク州に引き渡さないとする意向だとの報道もあり、国内分断は激しくなる様相だ。これまでも様々なスポットライトを浴びることで政治的に浮上してきたトランプ氏。米国内政の不安定化は、国際秩序にも打撃を与える可能性がある。

「三菱とみずほ、何が分けた」をThink!

三菱とみずほ、何が分けた 金融不安が迫る即断今も(3月29日)
金融大手UBSによるクレディ・スイス・グループ救済で、世界中の金融機関が色めき立っている。一つは金融不安がどこまで広がり自分は大丈夫かという緊張。もう一つは、混乱を成長のきっかけにできないかという期待だ。

窪田真之さんの投稿】三菱UFJフィナンシャル・グループはM&A巧者である。モルガン・スタンレーへの出資は最大の成功であるが「買い」だけでなく「売り」でも優れた判断をしている。2021年に米カリフォルニア州の「MUFGユニオンバンク」の全株売却を決めたのも良い判断だった。従来型の商業銀行業務を続ける米国の地方銀行を持ち続ける意義が薄れたとの判断だ。あのタイミングで売らず、今売ろうとしたら銀行危機で売値は大幅に下がっていたと考えられる。アジア進出にも積極的。タイのアユタヤ銀行、インドネシアのバンクダナモンを傘下に収めている。この買収では減損が発生したが、長い目で見て高いリターンを生む投資となると考えられる。

「EU、エンジン車容認で合意」をThink!

EU、エンジン車容認で合意 合成燃料限定で35年以降も(3月28日)
欧州連合(EU)は28日のエネルギー相理事会で、2035年にゼロエミッション車以外の販売を原則禁じることで正式に合意した。内燃機関(エンジン)車の新車販売を全て認めない当初案を修正し、温暖化ガス排出をゼロとみなす合成燃料の利用に限り販売を認める。

【深尾三四郎さんの投稿車産業における競争力の源泉はエンジン性能から再生可能エネルギーの調達力へ移行する。車メーカーで合成燃料の容認を歓迎しているのは、高コストの合成燃料を許容できる富裕層を客にしたポルシェとフェラーリ。当理事会でドイツに同調して反対票を投じたのはポーランドだけで、イタリアは反対という事前予想に反して棄権に回った。脱エンジンに関しては小さな逃げ道を設けたが、脱炭素の基本方針に変化はない。合成燃料で恩恵を受けるスーパーカーの台数たるや微々たるもの。欧州にとって地の利である再エネを普及させて脱炭素化を推し進めることをベースにした"2035 ICE BAN"が正式決定したという事実の重さに目を向けるべき。

「フィンランドのNATO加盟」をThink!

フィンランドのNATO加盟確定 トルコ議会が批准(3月31日)
フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟が確定した。トルコ議会が30日に加盟を承認し、全30の加盟国の批准手続きが完了した。フィンランドはロシアのウクライナ侵攻を受けて長年の中立政策を転換する。

【広瀬陽子さんの投稿共に中立国であったフィンランド、スウェーデンは長年、防衛協力も進めてきたこともあり、NATOに両国同時加盟を目指してきたが、フィンランドが先行加盟することになりそうだ。フィンランドとしては、加盟に備え、昨年からブリュッセルのNATO代表部の人員も2倍近くに拡充し(今後、更なる拡大もありうる)、NATOの議論等にも正規加盟国に近い形でコミットしてきた。加盟は順調に進むだろう。ロシアの反発は必至だが、他方、ロシアができることは実質的には多くない。フィンランドもその脅威に対抗すべく、国境に壁を構築するなど、様々な対応策を練っている。NATO加盟で安全保障状況はより確実なものとなるだろう。

「飲用乳価2年連続上げ」をThink!

飲用乳価2年連続上げ 8月から10円、牛乳再値上げも(3月30日)
牛乳の原料となる生乳の価格(飲用乳価)が2年連続で上がる。関東の生産者団体と乳業大手の交渉が、1キログラム10円の引き上げで決着したことが30日、わかった。8月1日から適用する。エサ高による酪農家の経営悪化が背景にある。

【大泉一貫さんの投稿生乳が過剰なのになぜ乳価があがるのか?誰もが抱く疑問だろう。二つの点で懸念がでてくる。第一に、消費が落ち込み生乳離れが進む可能性。酪農では「加工原料乳生産者補給金暫定措置法」が価格形成に関与しており、プロダクトサイドの都合だけで値上げすると、コメがそうなったように需要は落ち込む。第二に、変動に強い生産構造へ変えるきっかけが失われる。日本の乳価は世界一高い。生産性も高い。それが資材高で一転して赤字になるという。本来牛は草を食べて乳を出す生物。それを舎飼にして穀物を与えている。草地酪農が良いが、せめて国内で子実用トウモロコシなどを作って供給する構造にしたいもの。


Think!
ニュースに投稿がつく「Think!」。これまでの投稿一覧と、エキスパートのみなさんのご紹介は次のページから。

【投稿一覧】
https://r.nikkei.com/topics/topic_expert_EVP00000
【エキスパート紹介】
https://www.nikkei.com/think-all-experts

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

Think!まとめ読み

各界エキスパートが注目記事にひとこと解説を投稿する「Think!」。電子版会員の皆さんの関心を集めた記事を、Think!の解説とともにまとめ読みできます。

Think!とは?   ・Think!投稿一覧
【動画】Think!エキスパートと考える「2022年のワークシフト」

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません